第6回資産運用をする前に、心得ておきたいこと
この記事でわかること
資産運用は短期ではなく、じっくりと長期で
資産運用を始めるにあたって、あらかじめ心得ておきたいことがいくつかあります。まず、資産運用は短期ではなく、長期でじっくり構えて臨むことが重要です。
多くの場合、投資では株価や為替レートなどが日々刻々と変化するため、当然浮き沈みが発生します。たまたま購入したタイミングが悪いと、一時的にマイナスになってしまうこともあるでしょう。でも、それを見て一喜一憂したり、慌てて撤退したりする必要はありません。株も為替も上がったり下がったりを繰り返すのが普通で、よほどのことがない限り、いつまでも一方的に下がり続けることはないのです。
第1回でも触れましたが、投資は期間が長ければ長いほど、複利効果が効いて成果が大きくなります。もちろん、途中で経過を見ながら部分的に見直したり、修正したりすることは有効ですが、一時的に評価額が落ち込んだとしても、長く持っていればリカバリーのチャンスはあるでしょう。慌てず騒がず、じっくりと長期で構えることが肝要なのです。
そのためにも投資は余裕資金の範囲内で行い、一度に大金を投じないことが鉄則です。投資にはリターンの期待とともに、損するリスクが常について回ります。なけなしの生活資金や近々使う予定のある資金で投資を行うと、たまたま損失が出た段階で決済せざるを得なくなる可能性もあります。投資はあくまでもすぐに使う予定のない余裕資金で行い、時間をかけて増やしていくことが大切です。
また、一度に大金をつぎ込んでしまうと、投資対象の価格が思惑とは逆に動いてしまった場合に大きな損失を被ることになります。特に投資初心者は少額からトライし、慣れてきてから徐々に資金を増やしていくといいでしょう。
中身がわからないものには手を出さない
次に、「内容がわからないものには手を出さないこと」も重要です。時々、ニュースで「元本保証で年利40%の配当が出ると言われて数千万円預けたのに、お金が戻ってこない」とか、「架空の投資話で数百人から数十億円を集めていた」などという投資詐欺の事件が報道されます。
これも常識的に考えれば、この超低金利の時代にそんな高金利で運用できる投資対象が存在するとは思えません。しかも元本保証などという「おいしい話」はあるはずもなく、100%詐欺といえるでしょう。
日本では、元本保証をうたって損失リスクのある投資の取引を勧誘することは法律で禁止されています。それでもこうした事件が後を絶たないのは、正しい知識を持たないまま安易にお金を預けて、引っかかってしまう人がいかに多いかを表しています。
こうした事態を避けるには、信用のおける金融機関で取引すること、そしてお金を預ける前に商品内容をきちんと確認し、中身のわからないものには手を出さないことが大切です。特に最近では、デリバティブ(金融派生商品)と呼ばれる複雑な仕組みを取り入れた「仕組債」や、経営危機に陥ったクレディ・スイスの「AT1債(永久劣後債)」など、大手金融機関が販売する債券でも、元本割れや無価値化に陥る事例が発生しています。
実際に投資をする際には、その商品がどういう内容のものか、どのようなリスクがどの程度あるのかを事前に確かめ、そのリスクを許容できるかどうか判断して、納得した上でお金を投じるようにしましょう。ちょっとでもわからなかったり、不安に思ったりすることがあれば、インターネットで調べたり、金融機関の担当者に尋ねたりして、事前に疑問や不安を解消しておくことが重要です。
そして、最後に忘れてはならないのが、「投資は自己責任」という点です。いくら友人や金融機関の担当者から勧められたからといって、それで失敗したとしても誰も責任を取ってはくれません。その結果や責任を引き受けるのは、あくまでも自分自身です。だからこそ、納得のいくまで調べ、考えて行うことが大切なのです。
記事作成日:2023年5月11日
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金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2883号