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【投資ノウハウ】下落が続く米国株。今秋は「守りの秋」か?
9月も中旬に入ってきました。以前、このコラムで9月の米国株は下落傾向がある話をしましたが、どうも今年も、このアノマリーがあたりそうです。S&P500が6日から5日連続安となり、週間ベースで6月半ば以来の大幅安となりました。
今回は、危うさの出てきた米株市場の現状を確認し、ここからの相場動向、そして次の一手を考えてみます。
雇用のミスマッチが続く
気になるのは、依然として雇用のミスマッチが起きていることです。9月3日に発表された8月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比23万5000人増と、市場予想の72万8000人増を大きく下回りました。これは、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大により、サービス業を中心に雇用が手控えられたためです。詳細をみると、製造業などは雇用が増加しています。
また、失業率は5.4%から5.2%に改善しています。米国の失業率は「失業者÷労働力人口×100」で求めます。
失業者の定義は
➀仕事がなく過去4週間に求職活動し、仕事があればすぐに就くことが出来る者
②レイオフ(一時解雇)中の者
になります。
失業率が低下したということは、求職活動をすれば、前月に比べて容易に職に付けたことを意味します。今月で失業保険特別給付も終わるため、今後、労働市場に戻ってくる人数は増えるでしょう。失業率のさらなる低下が予想されます。
雇用の回復基調が維持される中、注目したいのは賃金です。時間当たり賃金が予想の前月比0.3%上昇から倍の伸びとなる0.6%上昇、前年同月比では4.3%と前月の4.0%から伸びが加速したことです。
賃金を上げないと雇用を確保できない状況が続いています。この状況は、米連邦準備制度理事会(FRB)がまとめた地区連銀経済報告でも指摘されており、特に低賃金職の賃金上昇が著しいとされています。
物価の上昇
賃金の上昇が続く一方、米国では物価の上昇も続いています。10日に発表された米生産者物価指数は、前年同月比8.3%上昇と現在の計算方針になってから過去最高の上昇です。
原材料不足に加え、輸送面でのボトルネック、上記した労働コスト上昇など生産の多くの過程でコストが上昇しています。
企業はこれを値上げという形で吸収を始めています。14日に発表された8月の米消費者物価指数は、前月比0.3%上昇、前年同月比5.3%上昇と予想は下回ったものの、依然として高い水準にあります。
また、前月比が予想を下回った背景には、デルタ株の感染拡大による航空需要の減少などがあり、感染拡大がひと段落すれば、再び物価が上昇する可能性もありそうです。
物価と賃金の上昇の行く手には
これまで述べてきたように、いまは物価も賃金も上昇しています。ここから注意したいのは、物価の上昇に賃金の上昇が追い付かなくなることです。
仮に、物価が5%上昇しても、それ以上に賃金が上昇すれば、何も問題はありません。しかし、実際は賃金の変動は、年俸制なら年に1回ですし、頻繁に給与が改訂される企業でも四半期ごとではないでしょうか。
ある試算では、米国の8月のインフレ調整後の実質平均時給は前年同月比0.9%減少、7月は同1.2%減少とあります。この状況が続けば、消費は減速します。
この兆候は、すでに消費者マインドに表れています。米ミシガン大学が発表した8月の消費者信頼感指数は70.3と2011年12月以来、約10年ぶりの低水準でした。この数値は、あくまで消費者の心理状態です。
ただ、この調査がデルタ株の感染拡大時期に行われたことを加味しても、少し心配な数値です。
守りも考える
これまで上値追いをしてきた米国株ですが、ここにきて米国景気に対する警戒感など、不安材料が目立ってきました。また、米下院民主党は、連邦法人税率について、現行の21%から26.5%への引き上げを目指すと表明するなど、増税に着手していることも市場にとっては弱材料です。
もちろん、バイデン政権は大規模な公共投資も約束しており、最終的にはこれは企業業績に貢献するでしょう。しかし、市場は、経済指標やアノマリーに絡め、いまは増税を材料視しています。実際、9月に入り、株価はここまで軟調に推移する日が多いです。
こういう時に考えたいのが、ディフェンシブ銘柄です。ディフェンシブ銘柄とは、景気動向に左右されにくい株のことを指します。
業種で言えば、「生活必需品」、「公共事業(電気、ガス、水道)」、「ヘルスケア」などがこれらにあたります。生きていく上で、必要なサービスと考えればいいでしょう。
具体的な銘柄としては
・生活必需品なら:プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、コカ・コーラ(KO)、アルトリア・グループ(MO)
・公共事業なら:ネクステラ・エナジー(NEE)
・ヘルスケアなら:ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、ファイザー(PFE)、アッヴィ(ABBV)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)、CVSヘルス(CVS)
などが挙げられます。
ディフェンシブ銘柄は値動きが少ないため、好景気の時は置き去りにされることも多いです。ただ、安定的な配当利回りが見込め、じっくり資産を築いていきたい方や景気に陰りが見えてきた時などにおすすめです。
記事作成:2021年9月21日
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