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凡庸”おやじキャンプ飯”雑記「創造」

今回の「おやじキャンプ飯」には驚いた。

毎回、ぼんやりと楽しく観て、じんわりと気持ちが暖かくなる場面に、微笑んでいた。それでも、付かず離れずの関係だった。

YouTube配信ドラマだし、さほど、多くの役者が出ている訳ではない。侮っていたのだろうか、心のどこかで。

それがいつしか、楽しみに待っている様になったのは、いつの回からだろうか。何か、生活の一部。それは大袈裟か。大切な作品の一つと、心の片隅で楽しく待っている様になった。

今回の最後の大分編。物語も、演技も何か一つの層を突き抜けた感があった。

初めのちょっとめんどくさそうなおっさんが、電話で頼んだ頼んでないと言い合っている場面から始まる。よくある、ビジネスの問題で、仕事命の中高年。

あるあるだな。と、何気なく見過ごすと、これが、後からジンジンやってくる。なぜ、伝わっていなかったのか、伝えていなかったのか。その、原因が明かされると、なんとも言えない、悲しさがしみてくる。

そこから、主人公との触れ合いが、いつもの如く始まり、キャンプ場で座っているだけなのに、人生の走馬灯が描かれる。毎回ながらいい。特に今回は。

それにしても、今回は、いや、いつも以上に近藤芳正の演技が、冴えてしみる。

少しの目線の動かし方が素晴らしい。こんな味わいのある役者はそういない。
とんでもない名演技を、今、目にしているのかもしれない。いや、きっとそうだ。

長年脇役で、培われ磨かれた演技。地味な中に、黒光りした眩い発光がある。素晴らしい。凡庸な言葉だがそれしか今は言葉は無い。ヴィム・ヴェンダースやアキ・カウリスマキ、それと、個人的に大好きな監督ジム・ジャームッシュの映画でも、堂々とした地味で気弱な名演を披露してくれるのではないだろうか。

ヴィムも日本の超有名俳優じゃなくて、彼を使って撮ってくれないかなと、妄想したりして。もちろん、彼映画も記憶に残る名作には違いないけれど。

YouTubeだからこそ、いつも傍で映っている男が、こんなにも有意義な能力を持っていたと、知れたのだろう。玉石金剛の配信の中でこそ、叶えられた出会いだ。

埋もれた、価値ある”素材”を、これからも想像し、創造して欲しいと、楽しみに待っている。

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