モネと印象派の時代
1874年4月に第一回印象派展が開かれてから150年。でも開催時「印象派」という言葉はなかったという。展示されたのは美術界を牛耳るアカデミーの規範からはみ出したヘンな作品ばかり。これらをこき下ろす新聞記事に「印象派」という言葉が初めて使われたそうだ。モネの作品『印象 日の出』にちなんで皮肉ったこの言葉。それが後に超メジャーになるとはねぇ。
いまデザイン・クリエイティブセンター神戸のKIITOホールで、没入型展覧会『モネ & フレンズ アライブ』が開催中です。『ゴッホ』、『ダリ』に続いて3度目の視聴体験。モネ、ピサロ、ルノワール、セザンヌ、ドガ、ロートレックなどの作品を、周りの壁や床をスクリーンにして映し出す。明るい色、大胆な筆遣い、従来なかった自由なテーマで描かれた作品の数々。
歴史や聖書のエピソードを室内のアトリエで描くアカデミーの画家たち。それに対して戸外に出かけて街や田舎の風景や人々が楽しむ情景を描く印象派の画家たち。重厚な世界と、軽快な新時代。産業革命以来の技術の進歩と、市民社会の発展が大きく価値観を変えつつあった19世紀後半。カメラの革新やチューブ入り絵具もアーティストに多大な影響を与えました。
最初はまったく評価されなかったこれらの画家たち。アカデミーが認めるのは「歴史画」と呼ぶテーマと、筆跡を残さず光沢のある画面に理想美を描く画法。観客もそれが美の基準と信じていたので、あまりにも斬新なスタイルについていけなかったのでしょう。しかし新たな美に目覚めた新しもの好きコレクターもあらわれ、徐々に作品が売れるようになったのです。