見出し画像

平川 克美『「答えは出さない」という見識』

答えを求め、答えが必ずあると信じ込んでいる人は多い。そういう人には、僕の行動は不可解であり、謎に満ちており、そして「本当のことを言っていない」と勝手に解釈されることまでもある。

旅も事業も、先が見えないから「やってみよう」と思ったのだ。やってみたら後から解釈が出てくる。そして、インタビューだったり相談だったり、そういうものに応えることによって「一つの回答」とか「まとめ」ができあがることはある。

でも、そこにゴールを定めて、そこに向かっていたかというと、そんなわけはない。歩いてきたら道のようなものができて、歩いてきたのは「道ですか」と問われたので「道だったんでしょうね」と答えたにすぎない。

僕も時々相談を受ける。「答えは出さない」という見識というつもりはないが、答えなどないと思っている。なんとなく、聞かれたことに対して自分の体験談などを語ったり、あぁでもない、こうでもないと言っているうちに話はあっちこっちに行く。その間に、相談者の悩みは解決する。答えはその人が持っているからだ。

相談を受ける人は、ただの触媒である。答えを出そうとしてもいいし、答えなどないのだと開き直ってもいい。相談事は、やり取りの中で勝手に解決されていく。

答えなんてないよ。こんなことが一応の答えだろうかという言葉に辿り着くまでに、たくさんのヒントがあるので、相談者でなくとも楽しめる。そういう前提で、こういう本を書けるのは羨ましい。


いいなと思ったら応援しよう!

paxi
パクチー(P)コワーキング(C)ランニング(R)を愛する、PCR+ な旅人です。 鋸南(千葉県安房郡)と東京(主に世田谷と有楽町)を行き来しています。