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太陽の下で酒を飲む
太陽の下で酒を飲む。
「日没後の断酒」を宣言して実行しているが、「〜しない」という表現はネガティブなので気になっていた。この宣言に対する肯定的な意見をたくさんもらい、かなりいい気になっているにもかかわらず。
約89日に一度、仲間とやっている「鋸山縦走チャレンジ100」も昨日今日で4回目。僕はボランティアでランナーたちのサポートをしている。土曜日の朝8:09から31時間のチャレンジで、自分なりに目標を決めて走る。20kmのコースを何度往復するか、5週回って100kmが1つの目安だが、8往復して100mile完走する人はまだ出ていない。
僕は徹夜で走るなんてあまりやりたく無い。が、エイドとしてランナーたちを応援し、パクチー料理を提供するのは無常の喜びだ。夜が明けで朝になってもまだ続いていて、午後3時までやるのはランナーにとってもサポーターにとってもかなりきついけれど、それよりも喜びが勝る。
僕の「日没後の断酒」を皆が知っているか知らないかは分からないけれど、応援団の宴会の横で、昨晩の日没以降は白湯とお茶、炭酸水などを飲んでいた。そして、朝が来た。日の出の時刻に、そこにいた仲間たちにビールをふるまい、カンパクした。
朝食を意味する、breakfastは、「fast(断食)を破る(break)」を語源としている。寝ている間食べてないだけじゃないかと、この語源を中学の時に英語教師に教えられた時に思ったが、今でもそう思っている。しかし、今日、日の出とともにビールを飲み、多くの人が「飲むべき時間」と思っている夜を終えた瞬間に乾杯をしたことで、僕の世界観はがらりと変わった。
これが本当のbreakfast。酒を断つ、飲み過ぎない、というだけでない、新しい境地、新しい習慣。僕は「日没後に酒を飲まない」のではなく「太陽の下で酒を飲む」んだ。
パクチーハウス東京は、「ヨーロッパの夏の広場」をイメージして店づくりをした。明るすぎる、酒の場っぽくないと言われた店内の照度や、仕切りのない空間にはそういう意味があった。個室化を進め暗めがカッコいいという勘違いをしていた日本の居酒屋は愚痴の温床だったが、ヨーロッパの各都市のスクエアには笑いこそあれ、誰かを貶めようとする人がいれば即座に追い出される。そんな雰囲気が漂っている。
初めてヨーロッパの地を踏んだのは、ラトビアの首都リガだった。夜中のフライトでモンゴルから到着し、翌朝ゲストハウスを出てヨーロッパの夏の広場に初めて足を踏み入れたとき、明るい時間からビールを飲みまくっている人々を見て、僕は眉を顰めた。しかし、それから数十日のヨーロッパ滞在で、明るい笑顔にたくさん出会い、人生において大切な考え方をたくさん教えてもらって、僕は考えを変えた。
太陽の下で酒を飲もう。そして日が暮れたら、家に帰って明日の太陽に備えようよ。
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