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色彩心理の基礎/(2)色は感覚・判断に影響を与える

色が人に与える効果には、いくつかの種類があります。心に影響を与えて感情に変化を与えるもの、感覚を狂わしてしまうもの、心だけでなく体そのものに影響を与えるものです。たくさんの心理効果をわかりやすくするために何に影響を与えるかによって効果を3種類に分類をしました。

(1)感情に影響を与える
(2)感覚、判断に影響を与える
(3)生体に影響を与える

ここでは「感覚・判断に影響を与える」を取り上げます。

人の感覚は色の前では簡単に狂わされてしまいます。わかりやすいものでいうと「重さ」「大きさ」「暖かさ」などは、日頃から色を意識していない人でも感じることがあると思います。

「重さ」は黒と白を比較してみるといつも苦瞭然ですが、白よりも黒い箱のほうを重く感じます。色と見た目の重さ感を比較した実験では、白い箱に比べ、黒い箱のほうは約1.8 倍も重く感じられたという結果もあります(今度、実際に実験して確かめたい)。黒が最も重く感じる色で、続いて紫、赤、青、黄色、白と軽く感じるようになります。

一覧にしてみると感な感じ。

また、同じ色でも明度の低い色(暗い色)は明度の高い色(明るい色)よりも重く感じます。また明度が同じ場合、彩度の低い色(鮮やかでない色)は高い色(鮮やかな色)に比べて重く感じる傾向があります。金庫の色は黒が主流です。高級感なとのイメージもあるとは思いますが、金庫は簡単に持っていかれないよう、心理的に重く感じられる色にすることで、盗難防止に色の効果が活用されています。

もっと身近なところでは冬のコートなどは黒、グレイ、などの濃い色の
ものが多く、なんとなく重々しいイメージがあると思います。色の力で重さのイメージも変化し、その影響を受けて重さの感覚まで狂わされてしまうのです。

こうした効果は、近年の研究になって明らかになってきましたが、私たちのご先祖様も体感的に知っていて使っていた形跡が残っています。戦国時代には、すでに色の心理効果を知って、活用していた武将がいました。風林火山の軍旗を使い、「甲斐の虎」とも呼ばれた武将の武田信玄。彼が率いる将の中には鎧、武具、馬具を朱塗りにした「赤備え」の部隊がいました。部隊全体を赤で染め上げることで、敵味方の判別が容易につくことと、敵への威嚇の目的があったと考えられます。赤は進出色と同時に膨張色であり、敵にしてみれば武田軍はすぐ近くに迫っているように見え、部隊数も多く感じるのです。

さらに、赤は人を行動的にさせ気持ちを高揚させる効果もあるので、味方の士気高揚にも役立ったはずです。武田軍の中で赤備えとして有名なのは、武田軍の中核となって信玄を支えた飯富虎昌(おぶとらまさ)。そして飯富虎昌の弟であり、「武田の四名臣」として有名な山県昌景(やまがたまさかげ)です。山県は身長が140cmほどの小柄な体格と伝わっているので、自分を大きく見せることにも敏感だったのでしょうね。

その後、井伊直政や真田幸村も赤備えを受け継いでいます。山県は真面目で忠誠心の強いおじさんとして描かれることも多いですが、井伊直政や真田幸村は美少年、赤の似合う戦隊モノのヒーロー的な扱いが多いです。山県さんも忘れないでいてあげてください。

当時、赤の色を出すのには辰しん砂しゃと呼ばれる希少な鉱物を使っており、精鋭部隊に限られ、誰でも赤を使えるというわけではなかったようです。また赤備え以外にも、白や黄色、紺で統一した軍勢があったといいます。紺の部隊は後退色を利用した隠密作戦や夜襲などで効果が期待できたはずです。

他にも、色は位置感覚や記憶、味覚などまで狂わされてしまうことがあるので、色の扱いには注意が必要です。

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