「光る君へ」3話の色彩と心理解説
2024年の大河ドラマ「光る君へ」。世界最古の長編小説『源氏物語』を創作した紫式部の人生を描く物語です。ポーポーの色彩研究会では、色と心理の勉強をしながら、この物語をより楽しんでいただけるように、時代背景、文化的な側面をからめつつ解説していきたいと思います。ストーリーを追って解説をしていきますので、まだご覧になっていない方はネタバレにご注意ください。毎週できるかわかりませんが、色彩と心理のポイントを解説したいと思います。
盗賊の一味と間違わられて捕まった藤原道長(三郎)は、人間違いだと判明して釈放されます。しかし、父親の兼家に不祥事を咎められられます。ここで右大臣である兼家は摂政を目指している野心を持っていることがわかります。ちなみに政治を動かすトップには太政大臣(だいじょうだいじん)」という役職がありますが、名誉職のような形で実務は行わなかったとされていますので、左大臣が実質的なトップでその下が右大臣になります。太政大臣・左大臣・右大臣の順番です。また、この役職とは別に「関白」という成人した天皇を補佐する仕事をする立場の人もいました。「摂政」は天皇が幼少期のときにおかれます。関白と摂政は同時には存在しません。兼家は自分の思い通りに幼き天皇を操りたいのだと思われます。
のらりくらりとかわす道長は、一族の繁栄とか野心など関係ない様子です。「今は厄介ごとはひとつもあってはならん。上を目指すのは我が一族の宿命」と怒られます。三男であることで野心があっても仕方のないような発言をしますが、実際は民が何を考えているかのほうに興味がありそうですし、自らの欲を溢れ出す父とは距離を取りたい気持ちがあるようにも見えます。
そこに通りかかる姉の詮子(あきこ)は、道長のよき理解者でありました。詮子は天皇の寵愛を受けたものの、立后の争いに負けて東三条殿に下がります。期待に応えられなかった、切なさを心に抱いていると思います。詮子が着るの十二単からは、艶のある緑色の唐衣の下には「紅の薄様」という「襲の色目」が見てとれます。
「薄様」とはグラデーションで、外側から内側へ紅から白へと変化する配色です。紅はとても価値があり、権力や財力の象徴でした。「紅の薄様」は四季を通して着られたものだと考えられます。
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