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色彩心理の基礎/(3)色は生体に影響を与える

色が人に与える効果には、いくつかの種類があります。心に影響を与えて感情に変化を与えるもの、感覚を狂わしてしまうもの、心だけでなく体そのものに影響を与えるものです。たくさんの心理効果をわかりやすくするために何に影響を与えるかによって効果を3種類に分類をしました。

(1)感情に影響を与える
(2)感覚、判断に影響を与える
(3)生体に影響を与える

ここでは「生体に影響を与える」を取り上げます。

「生体」という表現は何を指すかというと、感情は心の問題、感覚は認知(脳)の問題、生体とは体に影響を与えるという意味で使っています。

多年生植物である茜で染めた赤いふんどしや腰巻は、昔から強壮の作用があると言われています。赤いふんどしや赤い腰巻は、生殖器の発達をよくして機能を上げると伝承されています。
 
女性の背景が赤かったり、洋服が赤いと女性が魅力的に感じるという実験結果があり、色彩心理学の世界では赤は女性を引き立てる色として「ロマンティックレッド」といわれています。

その後、別の実験では、平均知覚された平均年齢48.2歳の女性より知覚された平均年齢24.7歳の女性に対してその効果が働くことが認められました。(シュワルツ シンガー 2014)。この結果から赤は結婚適齢期の女性に対して強く機能するものではないかという説が出ています。性的な関係とと結びつく可能性があります。

また男性の写真を使った実験では、自信がない男性を赤は魅力的に見せる色にならないことがわかり、自信に満ちた男性をより魅力的に見せるということがわかりました。ニホンザルのお尻は赤い色をしていますがも生殖期になるとより赤くなり、雄は雌を惹きつけるといいます。特にボスザルは他のサルよりも赤くなるといいます。赤はこうした性的な機能と大きく関係していると考えられます。ちなみにミホンザルはニホンザルの亜種でありながら、お尻は赤くなく、かわりに腹黒い個体がいるということです。
 
この結果から注意しなくてはいけないのは、女性は真紅のルージュを付けたり赤い服を着たい気分でも、赤を身につけて男性の前に出ると男性は誘惑されていると都合よく解釈される可能性があります。男性を誘惑したい場合は意識的に赤を身につけて、避けたい場合は赤を着ないように気をつけたいところです。

さてもうひとつ、
          「仕事が忙しくて夜遅くまで資料を作らないといけない。でも、少しでも寝られるなら1時間でも2時間でもスッキリ眠りたい」そんなシチュエーションがある場合、色と光をうまく使うとコントロールできるかもしれません。

色には実際に体に作用して影響を与えることがあります。仕事をするときは赤い服を着て、蛍光灯の光を浴びながら仕事をします。鮮やかな赤い色は交感神経を優位にする傾向があり、体を「ON」の状態であろうとします。

仕事が終わって寝るときは白い光を浴びてしまうと脳が覚醒して睡眠を妨害することがあります。睡眠を促進するには青系の色が良いといわれています。青は副交感神経に働きかけ、血圧、脈拍、呼吸数などを低下させ、心を沈静させる働きがあります。青は人を睡眠に誘う色なのです。実際、布団に淡い青系の色が多いのは、そのような理由があるからです。また白も睡眠を促進させる色です。白は清潔感があり、気持ちよく睡眠に導く色であります。白は淡い青、明るい青と組み合わさることで、心を落ち着かせる配色となります。体を「OFF」にしようとします。

さらに照明も大事です。就寝前に昼白色(白っぽい色)の照明の光を浴びると、睡眠ホルモンといわれている「メラトニン」の分泌を抑制し、深い眠りが妨げられてしまうという報告もあります。寝室には電球色(赤く暖かい色)の照明が好ましいです。良い睡眠には、白、青系の色の布団、パジャマを使い、暖かい色の照明を使うとよいでしょう。これはかなり使えるのでお試しください。

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