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希望の色「水天一碧」

水天(すいてん)という色ことばがあります。水と天、海と空、水に映る天のことです。澄んだ水は空を映してもさらに青く、 青い空はどこまでも澄んで映し出されます。

晴れた大海原に出て、茫々たる水平線を見つめると、どこからが空でどこまでが海かわからない光景を見ることでしょう。「水天一碧(すいてんいっぺき)」は晴れた日、空と海が一つ続きになって見えることを言います。どこまでが海で、どこからが空かわからない、その境目のない美しさがあります。

「碧」は「みどり」のことです。青を含めて表現される色で、青いものにも使われます。水天、青空がひとつの碧になっているという意味になります。海と空が一体化する表現に、水天彷彿(髣髴)ということばもあります。でも、私はぼんやりとしてはっきり見定められない様子の意味よりも、海と空が一つになる「一碧」ということばが美しいと思い、惹かれます。

昔から海に生きる人たちはこの情景をずっと見てきたと思います。大航海時代、水天一碧に紺碧の陸地を探して、一喜一憂していたはずです。そう水天一碧の先にあるのは希望でした。希望のことばだと思うのです。

領土拡大を目指すスペインやポルトガルの王家、、1488年にはバルトロメウ・ディアスがアフリカ南端の喜望峰(きぼうほう)に到達しました。喜望峰の英語名は「Cape of Good Hope」。この航路の発見は香辛料発見のルート短縮につながったと言われています。コロンブスは、水天一碧の先に新大陸発見し、ヴァスコ・ダ・ガマはインド航路を発見したのです。


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