美しい「色ことば」を未来に伝えていくにあたり
平安時代の貴族たちにとって、美しい色の知識を持つことは、とても大事な教養のひとつでした。色のことを知り、色の言葉を操り、そして美しい色の組み合わせを衣の重ね着を通して表現しました。
平安時代から800年、1000年と経った現代には、当時よりも多彩な色が生まれて、様々な色で溢れています。染色の技術も高まり、画材も当時から考えられないほど増えています。
それは日本人は優れた色彩感覚を持っており、微妙の差の色をたくさん使いこなしてきたからでしょう。また色を生み出すだけでなく、表現することにも長けており、多彩な洋服の世界、商品のバリエーション、デザインの世界だけでなく、文学には300以上の色が登場します。多様で自由に色が表現されてきたのです。
人は数十万色以上の色を見て区別することができます。一説には100万もの色を識別できるともいわれています。しかし、みなさんどうでしょう。日常的に表現する色は何色ぐらいでしょうか。一般的な人が日常で使う色数は20色以下です。そして、豊かな色の名前、そして色のことばが今、使われなくなり、次第に消えようとしています。
これは良いことなのでしょうか?
シンプルな色のみを使い、合理的に無駄なものを省いた、標準化された世界になってきているのでしょうか?
ポーポーはそうは考えていません。めくるめく歴史の中で生み出されてきた両手から溢れるばかりの色のことばを知り、そして次世代につなげていきたいと思います。豊かな色のことばは、豊かな色彩感覚を作り、それは豊かな生活につながっていくと考えています。色のことばを知り、豊かに表現していくことは
内面を磨き、内面の美しさを作る
知識の多さや表現の多彩さは自尊感情の向上にも役立つ
次世代に美しいことばを残していくことにつながる
多くの色、色のことばを学び、教養を高めるだけでなく、自分の内面も上げていきたい、価値も上げていきたい。そんなことをポーポーは考えています。みなさんの創作活動にも役立つと思いますし、読み物としてもきっとみなさんの心を掴むはずです。
そして色ひとつひとつ、色のことばひとつひとつに、たくさんの物語が込められています。こうした物語も大事にしていきたいと思います。
ここでいう「色ことば」とは
(1)色名
色に付けられた名前です。「赤」「ピンク」という基本的な色名から、「燕脂色」「ローズピンク」などの色の固有物や固有物から派生した色の名前です。和名だけでなく、海外からもたらされたたくさんの洋名もあり、世界から色が集まっている豊かな色名を持つ国のひとつです。この色名の中で、ぜひ残していきたい美しい名前を紹介したいと思います。
(2)色の形容詞・色彩形容詞
どんな色かを形容することばがあります。「鮮やかな赤」「くすんだ緑」などの場合「鮮やかな」「くすんだ」ということばは、色の形容詞です。また色が「赤い」などと形容詞化することがあり、これらのことばも色ことばと考えます。
(3)色彩語彙・色彩単語
色名を除く色彩に関係したことば、色を含んだ単語です。たとえば「天紅」とは赤い雲のことで、赤い雲を表現するバリエーション(語彙)のひとつです。また「万緑が広がる」は「緑が一面に広がる」と同義で使います。ことばに色を含んでいる色の語彙、単語も色ことばと定義します。
(4)色彩間接表現
色を直接ではなく、色と関わることば、間接的な表現も色ことばとします。たとえば、花が入り乱れる様を表現することばに「繚乱」ということばがあります。ここから「百花繚乱」は色々な花が咲き乱れることの意味が転じて、秀でた人材や業績、作品が溢れてくることをいいます。「百花繚乱」は直接、色は出てきませんが、色々な花が咲き乱れる様は色がなくてはならないものであり、こうした間接的な表現で美しい色が見られることばも色ことばと扱うこととします。
ぜひ、ポーポーと一緒に色の世界にいきましょう。色ことばを広げていくために、今後、いくつかの取り組みをしていきす。そのひとつがこの辞典・マガジンです。
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