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「魅惑の心理」マガジンvol.262(不幸にならないたった一つの簡単な方法)

みなさんに読んでいただきたいので、最後まで無料にしてあります。

何に対して幸福を感じるかは人によって異なります。好きな人とデートすることが最高の喜びである人、子どもと一緒に遊ぶときに最高の幸せを感じる人、ギャンブルで大きなお金を得たときに幸せを感じる人、本当に様々です。また「得る」ときではなくて、「失わないこと」で幸せになる人もいます。今の生活環境が特別、良いわけではないけれど、不幸を感じることがなく、今の状態がずっと続くことを願っている人もいるでしょう。

何年も前から人の「幸福感」と「不幸感」について興味があり、どういうもが人を幸せにするのか、不幸せにするのかを考えてきました。何に対して幸せを感じるかは人それぞれですから、「これさえ手に入れば、みんなが幸せになる」というものを探すことは無意味かもしれません。

でも、「もっとも多くの人が喜ぶもはなんだと思いますか?」という問いをしたら、きっと多くの人は「お金」と答えるようです。最大多数の人の幸福、幸福の最大公約数というものがあるならば、それは「お金」ではないだろうかと多くの人が思う現状があります。多くの人が何か幸福感は物資的なものと捉えている傾向を感じます。

でもその答えはNoです。

世の中には何が人を幸福にするのかを研究している心理学者がたくさんいまして、複数の先行研究が存在します。その研究ではお金が幸福感を作ることを否定しています。確かにお金と幸福感が強く結びついている人はいますが、それはお金を持っていない人が、何を得たら幸せになると考えるときに、最初に出てくるものが「お金」であって、実際にお金を得た人と幸福感に因果関係はほとんどないのです。

お金持ちには、お金持ち特有の悩みが存在するのです。
そして、それは幸福感を蝕んでいるのです。

お金がないことで不幸に感じる人は多くいます。ただ、お金を得ても幸福感が充実するわけではありません。お金がなくても幸せを感じる人は多くいます。お金さえあれば幸せになれると感じるような人は、実際はお金を得ても
あまり幸福を感じなくなるという悲しい因果もあります。

不幸を感じないために、お金はないよりあったほうが良い、でもお金があっても、心は救われない人が多い。

これが現実のようです。

特に今年は、そんなことを意識してたくさんの人と会って、この人の幸福はなんだろう、そして、今、幸せなのかということを聞いたり(ちょっと不思議がられる)、観察したりしながら、検証してきました。

前提条件として「健康」は多くの人が意識していませんが、強くあります。でも健康で幸福を感じる人は少ないです。健康は不幸せと強く結びついていて、不健康な人は不幸感を持つ人が多くいます。慢性的な腰が痛い、膝が痛い、歩けない、頭痛持ち、胃が悪いといった体のどこかに辛いところがあると、鬱になったり、心が塞ぎ込んでしまう人が本当に多いです。健康は大事です。病気があっても、病院に通ってコントロールできていれば、そんなに不幸感に影響を及ぼしません。

そんな中、不幸感に大きな影響を及ぼすのが、人間関係であります。人間関係が全てであると考える研究者もいますが、私はそこまで関しませんが、人間関係の状態は幸福感に強い影響を与えていると思います。

この人間関係で自分の心を病ませるもののひとつが「自分は賢い。他人は馬鹿である」という感覚です。成功者の何割かは、自分が優秀がために、他人が馬鹿に見えてしまう人がいます。この感覚を持つととても危険です。

自分は優秀と感じて、バリバリ稼いでいるような人は大体何かにイライラしています。それはお金を得て、自分のやりたいが大きくなり、他人を巻き込むようになると、思い通りにならないこと増えるからだと思います。

人には自分が価値があると感じる自尊感情というものがあります。自尊心ともいいます。日本人はこの自尊感情が低い人が多く、そのため誰かにほめてもらったり、認めてもらわないと、自分の価値を見出せなくなる人がいます。ここで手軽なのは「他人を馬鹿にすることで、相対的に自分の価値を上げる」ことになります。この「お手軽自尊感情」ほど厄介なものはありません。「俺は天才だ」とトキになれなかったアミバみたいになるのです。アミバは偽物なので、本物よりも出来が悪いと思われないように、自分を天才と言って、自尊感情を上げないと自我が保てなかったわけです。不幸です。

また、最初は自尊感情が低いところからスタートして、努力して勉強して仕事かうまくいって、結果的に自尊感情が上がっていくのは良いのですが、その感覚がスピードアップしすぎると止まらなくなって、暴走して「俺様自尊感情」になるのも危険です。周りの人が馬鹿に見えてしまいます。発言力のある著名人の中にも、こうした感覚を持つ人が何人か見えます。

自尊感情は低すぎても、急に高まり過ぎても危険な感覚なのです。

自尊感情は心の中で本当にゆっくり醸成されるものであり、基本的に簡単には上がりません。特に子どもの頃に作られてきているので、なかなか変わりにくい感覚でもあります。

私は多くの人と会って、たくさんの内面を見ていくうちに、あることが幸福感に影響があるではないかと仮説を持つようになり、その立証をしてきました。それが「他人の良いところを見られるような人は幸福感が高い」ということです。

自尊感情を高めようと相手と比較しているような人、他人を馬鹿にし続ける人と真逆の行動です。最初に悩んだのは「相手の良いところを見られる人が幸福感が高い」のか、それとも「幸福感が高いから、相手の良いところを見られる余裕がある」のかです。

その視点で人と話をしていると、これは両方あると思います。良いところを見ていると幸福感になっていくし、幸福感が高くなっていくとどんどん良い部分を見られるようにもなっていきます。好循環が起きているのです。

物質的なものがなぜ幸福感につながりにくいかというと、それは人の「欲」と「幸福感」が結びついているからで、人の欲はどんどんエスカレートしますし、物質的なものに幸福感を感じる人ほど、その傾向が顕著に出るからです。

さらに好循環を作るためには、相手の良いところを見て、そして相手を認めること、良い部分を相手にも伝えてあげるといいでしょう。

「他人の良いことろを探し、認めて、ほめて、共に歩んでいく」

良い部分というのは自分では気がつきにくい部分でもあり、指摘してあげると相手は気持ち良くなり、またそこを伸ばそうとします。相手はほめた人に感謝するようになり、また言った人も心地よくなります。するとまた人の良いとこを見ようとする好循環が生まれます。

人から感謝されることはとても幸せな気分になります。
これは人が社会性動物であるからだと思います。
(もちろん、個人差はあります)

相手を馬鹿にすることは、一時的に快楽を作ることがあります。でも、これ本当に一時的であり、満足しなくなると次のターゲットや悪い部分を探し始める悪循環が生まれます。そうした人はいつもピリピリしていて、不幸感が漂います。決して掴むことのできない、蜃気楼を掴もうとしているようにも見えます。

また、他人の良いことをを見るようにしていると、その良いことろを学ぶようになり、自分の成長にもつながります。この成長は緩やかであり、自分を認められる自尊感情がゆっくり上がっていきます。自尊感情が高くなると
他人の評価はあまり気にならなくなります。

誰かをいつもほめていると、それを見て面白くないと感じる人も出てきます。陰口を言われることもあります。私も何度も経験してきました。でも、影口を言われるからと言うの諦めたら、そこでこの循環は停滞してしまいます。私は影で言われる辛辣な言葉は、勲章だと思っています。最初は泣きそうでしたが、今は何も感じません。

人は良いことをしていると感じると、実は心がつらくなることがあります。無理にがんぼろうとして、変なプレッシャーや他人の視点に過敏になります。

でも、あたりまえのことをしていると思えば何も病みません。
不快な気持ちにもなりません。いつしか心も強くなります。

相手の良いことを見る。そして、できたらほめる。

これが不幸にならないために簡単にできる方法です。
幸福になるとは言い切れませんが、少なくても不幸感はなくなります。
私たちは人と多くの人一緒に暮らしています。
どうせなら、仲良くやりましょう。

「魅惑の心理」マカジンも今回で262回目。マガジンを定期購読していただけると、値段の入っていない原稿がたくさん読めるようになっています。来年も、ここでしか読めないような面白くてためになる話を書いていきたいと思いますので、ご購読をご検討ください。その費用を原資にこれからも小さく心理の研究を続けていきたいと思います。

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