性格とは?(性格心理学)
私たちが自分や人を知るためや評価で使う「性格」。この「性格」とは何なのかをここで考えてみたいと思います。心理学でも「性格」は大きなトピックのひとつであり、「性格心理学」という研究分野も存在します。ところが研究者によって、「性格」の定義も異なり「性格」の定義は研究者の数だけ存在するとも言われているちょっとややこしいものでもあります。実は心理学では明確に「性格」とは何かを定義できていないのです。
学術的な話はおいておいて、ここではできるだけ簡単に定義してみたい。たとえば性格とは「人の特徴を表す独自の思考傾向や行動傾向であり、一貫性があるもの」と言えるのではないでしょうか。
つまり背が高いとか低いなどの身体的特徴は性格とは言わないのです。あくまでも性格は「どんな考えを持つ人なのか?」「どんな行動をする人なのか?」を指しているものです。
性格を説明するには「独自性」と「一貫性」という言葉が大事であります。たとえば通勤途中の電車が故障で遅れたとしても、乗っている乗客の反応は異なります。イライラする人もいれば、冷静にゆっくりと待つ人もいます。これは個々の状況の違いだけでなく、性格の「独自性」からくるものが大きいでしょう。考えることや行動は人それぞれなのです。また一貫性とは状況が変化しても思考、行動は変化しないことを言います。整理整頓ができない人は、自分の部屋だけでなく会社のテーブルなども散らかっている。そのときの気分で行動が一時的に変化するものを言うのではなく、長年の間に培われた言わば「行動パータンの(抽象化した)概念」のようなものをさします。
性格と似た言葉で「気質」というものがあります。これは人生経験の比較的浅い時期から出現する性格的特徴で、性格の基礎となっている基本的な性質を指すことが多いです。最近の研究では赤ちゃんでも個々の行動パターンが異なることがわかってきています。気質傾向は生後約16週間で現れるといいます。そして、その子供達を追跡調査したところ、個々の気質は高校生になっても継続傾向にありました。また別の調査でも生後2、3ヶ月の赤ちゃんの気質が、成長後の性格にかなりの影響を及ぼしたという報告があります。「気質」は先天的に持っている「性格」の土台のようなものと考えるといいでしょう。
もうひとつ性格と似た言葉で「人格」という言葉があります。「人格」と「性格」は同じものだとする解釈もあれば、別のものとして区別することもあります。ただ日本では「人格」は、「性格」よりも評価的で道徳的な説明傾向が強く、一般的には別の言葉として理解されている。たとえば「あの人は人格者」のように高尚な人柄をさすときに使います。
自分の性格は自分が一番わかっていると思われがちですが、自分ではあんまりよくわかっていないことがあります。私も自分の性格を「人と争うのことが嫌いな性格」と思っていましたが、長年の友人に「結構、競争心が強いよね」と言われてハッとしたことがあります。自分のことは自分はよくわかっていないことがあります。あまりATフィールドを張らないで、友人、知人の評価にも耳を傾けるといいかもしれません。