色彩と色彩心理の最新研究まとめ2022
2022年に発表された色彩と色彩心理の研究や調査について、ポーポーがこれは面白い、何かに役に立ちそうと感じたものをピックアップし、その要約をまとめていきます。
(もくじ)
・目を閉じたときの明るさの知覚
・オストワルト表色系とマンセル表色系の比較(イタリアの調査)
・錠剤の色の影響と薬効の期待
・日本人学生の色、色の好み、感情の関連性
・目を閉じたときの明るさの知覚/大阪公立大学 酒井英樹教授
(Perception of brightness when the eyes are closed)
睡眠中の目を閉じているときに感じる署名の明るさは、まぶたの光透過率を測定した結果、閉眼時に感じる照明の明るさは、これまで考えられていたよりも大幅に高いことを明らかにしました。まぶたの光透過率を測定した先行研究はありますが、低照度であったり、片眼だけの評価であったりと日常生活における照明環境とは大きく異なるものでした。この研究では、両眼明所視における閉じた目と開いた目の条件下で同等の明るさの知覚を測定しています。
使用した光源は、単色の赤色 (ピーク波長 630 nm)、黄色 (593 nm)、緑色 (515 nm)、青色 (460 nm) LED、および白色 LED (Tcp = 4188 K, Ra = 93) でした。 ほぼ同じ色のまぶたを持つ合計 33 人の被験者 (平均 22 歳のアジアの成人) によって測定。 目を閉じたときの平均実効透過率は、赤が 52.4% ± 31.5%、黄色が 26.2% ± 18.2%、緑が 21.6% ± 16.7%、青が 4.5% ± 3.9%、白色光が 42.7% ± 24.8% でした。 これらの値は、以前に報告されたまぶたの透過率よりも数倍から10 倍以上も高かいことがわかりました。
まぶたの透過率は高いことはわかりましたが、それだけでは、知覚される閉じた目の明るさを説明できません。 また、個人差も大きかったのです。ほぼ同じ色のまぶたを持つ人を選んでおり、 まぶたの物理的な透過率が被験者ごとに異なる可能性は低いため、心理的要因が原因である可能性があるといいます。
(ポーポーの感想)
どのような心理的要因が個人差を作っているのか解明が待たれます。照明の色によって明るさの感じ方は大きく異なり、赤色光は明るく、青色光は暗く感じることもわかったところから、睡眠時の照明の種類選びの参考になるかもしれません。また、色彩心理の世界では青色には沈静効果があることが認められており、照明に関しても影響があるのかもしれないと考えられます。同じ蛍光灯でも昼光色の蛍光灯(色温度約6500k、青みがかって感じる)ではそんなに強く眩しさを感じず、案外寝られてしまうのかもと思うと面白いなと思いました。
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