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草間彌生「魂のおきどころ展」にみる色彩の世界
草間彌生(くさまやよい)さん、名前は聞いたことがなくても、黄色いかぼちゃに黒水玉のオブジェは、見たことがある人も多いと思います。直島や福岡市美術館にあるものが有名でしょうか。
草間さんの作品は何しろ色鮮やかで、不思議な形をしています。水玉模様など同じものを繰り返して使うことも特徴です。日本だけでなく世界での評価も高く、現代美術を語る上で欠かせない存在です。前衛アートの代表作家である岡本太郎さんの作品にもなんとなく似ているところがあり(両者の比較は後ほど)、作品は現代を彩り、そして強烈な異物としてのインパクトを奏でます。
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私は草間さんの作品が好きで、先日「魂のおきどころ展」を見てきましたので、私なりの解釈で草間ワールドを紹介したいと思います。紹介できる写真が限られておりますので、想像力を膨らませて読んでいただけると幸いです。
草間さんは幼い頃から幻影とか幻聴を見たり聞いたりしていたそうで、その苦悩から逃れるために幻覚・幻聴を絵にし始めたといいます。この話、小さく共感しています。私も子どもの頃、心の浮かんだものを、自分の部屋の壁の柄に合わせて他の人が見えない絵を描いていました。
そんな私が思うに想像するものを視覚化していくのではなく、実際に目の前に幻覚や幻聴が繰り返し溢れてくるのは、なかなかの苦痛だったと思います。草間さんが水玉を作品に繰り返し使っているのは、幻覚や幻聴から身を守るお経を体に描く感覚と似ているそうで、「防衛」の一種だとも語られています。そういえば、草間さんは黒水玉の黄色い作品そのままの服を着ていることもあります。
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