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松本人志さんのコメントに滲み出る感情

女性に性的行為を強要した記事を書いた「週刊文春」の記事に対して、「ダウンタウン」の松本人志さんが、発行元の文藝春秋らに5億5000万円の賠償を求めていた裁判、松本さんは11月8日に訴えを取り下げました。

松本さんは「かつて女性らが参加する会合に出席しておりました。参加された女性の中で率直にお詫び申し上げます」と同日、コメントしています。

松本さんが謝罪をし、訴えを取り下げ、文春と被害女性が取り下げに同意したことで、裁判はなくなりました。しかし、この謝罪と言われているコメントを何度読んでも引っかかります。

「不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば」という表現は、「私は悪いと思っていませんが、結果的に私の行動で不快な思いをしたり心を痛めたらごめんなさい」ということです。「私の行動で、不快な思いをされて申し訳ありません」という表現と似ていますが、雲泥の差があります。そして批判を回避するため、謝罪らしくするためにに「率直に」という言葉を付け加えています。これで自分は悪くないと今でも思っている。でも、不快な人がいたら悪かったね、というところを着地点にしているのです。

ここから推測するに、本当に自分が悪いと思っていなかったか、悪くないと主張したい感情がこのコメントに強く込められています。

性行為ができない相手を「生理」と呼んだり、女性から伝わってくる状況が仮に近しいものであるならば、松本さんは「自分と性的な関係を結ぶ人で不快な思いになるわけがない」というお山の大将のような人、女性軽視をする人だったのだなと強く感じました。文春の話が事実と異なることもありますが、このような会は実際にあったことは認めており、同意があったか、なかったかの話ではあります。見えているところから、見えていないところを推測するに、週刊誌にのせらせて、合意が不合意になったと考えるのはすこし苦しいです。

私は松本さんのミスエロチカというネタが大好きでした。松本さんがセクシーな外国人女性講師に扮して、下ネタを振りまきながら、浜田さんを誘惑するのです。セクシー女性講師を極限まで誇張して、その際どさが笑いになっていたと思うのですが、このネタは女性軽視からきているのかと考えたら、急に笑えなくなってしまいます。笑いは定型を崩したり、予測を裏切るところに面白さが生まれます。そのギリギリさが松本さんの笑いのテクニックのひとつでもあるのですが、それが「女性軽視かも」という答えが出てしまうと全く面白さを感じなくなります。

そして、松本さんは孤独だったのだと思いました。「裁判を起こす」と意気込んだ時も、誰も止められなかった背景が容易に想像できます。周囲の誰も「率直な」意見を言えなかったのですから。

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