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『光る君へ』6話「二人の才女」/色彩と心理解説

2024年の大河ドラマ『光る君へ』は、世界最古の長編小説『源氏物語』を創作した紫式部の人生を描く物語です。平安時代の陰謀、愛欲、友情、家族愛が豊かな色彩の中で描かれる作品です。ポーポーの色彩研究会では、『光る君へ』の衣装、色彩、登場人物の心理背景、色と心理の勉強としながら、この物語をより楽しんでいただけるように、時代背景をからめつつ解説していきたいと思います。ストーリーを追って解説をしていきますので、まだご覧になっていない方はネタバレにご注意ください。今回も色彩と心理のポイントを解説していきます。

前回5話「告白」はこちら▼

5話では
・床に伏せるまひろの単(ひとえ)
・寄坐(よりまし)とは
・花山天皇が着る「白」と袍の色
・月夜とカラーグレーディング
などを解説しています

では今回のお話です。

今回、若き日の清少納言が登場します。

まひろ(紫式部)の父である為時は、娘を左大臣・源雅信の娘が主催する集い(倫子サロン)に行かせたことを後悔します。前回の最後で、まひろが自分の胸で啼泣したことが、サロンと関係あると感じたからです。身分の違いから娘がいじめられているのではと思ったのでしょう。

しかし、まひろはこらからも通い続けると言い、源とつながりを深めたいと言いました。母の仇である右大臣家だけでなく、左大臣である源との関係を深めたほうが良いと父に申し出ます。ここで背景に弦楽器の音楽が入ります。心理的に視聴者に思慮深く、芯の強いまひろを感じさせる演出のひとつです。映像もまひろの目が強調されます。音楽とカメラワークで自然と主人公の感情や性格が伝わります。

実はまひろはにはもうひとつの思いがありました。それは道長と距離を取りたいと考え、そのためにも何かに打ち込みたいと思っていたのです。身分の違い、母の仇である一族、その相手をまだ感情が高まりきっていないうちに、距離をとっておきたいと感じたのかもしれません。人は時間があって、何もしないと色々と複雑なことを考えてしまいます。心の苦しみや悲しみは仕事や趣味が救ってくれることもあります。

そして興味深いのはそのことを本人がナレーションで説明してくれます。道長と距離を取ること、何かをすること、自分の命に使命を持たせることを。この演出は最近の感情を汲み取りにくくなっている視聴者への配慮でしょう。

一方、道長には父から婿入りの話をされていました。相手は源雅信の娘、倫子でした。父である兼家はそれで左大臣との関係が強固になると考えていました。しかし、道長は婿入りなど全く興味がありませんでした。そして道兼が家のために泥をかぶる道具と言われて、言葉を失います。

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