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パワプロ2024 栄冠ナイン 転生OB選手の能力弱体化の仕組み


はじめに

栄冠ナインでは、現役選手およびOB選手が新入生として転生します。新作であるパワプロ2024ではOB選手の収録数は400名を越すことが発表されています。そのため、新作の栄冠ナインにおけるOB選手の価値はこれまで以上に高まることが予想されます。ただし、能力値はそのまま引き継がれずに弱体化された状態で転生選手は登場します。本記事では、パワプロ2022における転生OB選手における弱体化の仕組みについて解析します。

転生前後における弱体化の仕組み

まず、OB野手選手における転生前後の能力値について比較します。ここで、イチローの能力値は以下の通りです。

イチローの能力値(左:転生前 / 右:転生後)

注目すべき点として、三点挙げられます。

  1. 能力値のバランスは 転生後でも共通

  2. 数値が高い能力ほど 弱体化の影響が大きい

  3. 弾道と特殊能力は 転生後でも保持

転生選手がそのまま新入生として登場した場合、野良の新入生との能力の差が大きくなります。ゲームバランスを保つため、転生選手の能力値はある程度弱体化されます。このとき能力値が優秀な選手ほど、ゲームバランスに影響を与えるため、弱体化の影響が大きいと考えられます。ただし、能力値の大小関係は転生後でも維持されています。つまり、各選手の個性は転生選手でも再現されているといえます。また、弾道と特殊能力は転生後でも変動していません。つまり、特殊能力が豊富なOB選手ほど、弱体化の影響は受けにくいと考えられます。そのため、栄冠ナインにおいても青特殊能力が豊富な転生OB選手が活躍しやすいです。

前田健太の能力値(左:転生前 / 右:転生後)

投手においても同様の傾向が確認されます。能力値は弱体化していますが、特殊能力は転生後も共通です。ただし変化球の球種は、4球種から3球種に減少しています。変化量の減少により、変化量が1であるナックルカーブが消滅したと考えられます。このことを踏まえると、転生OB投手も青特殊能力の数が栄冠ナインでの活躍に直結します。

野手能力値の弱体化

OB野手50名を対象に、転生前と転生後の能力値の変動についてそれぞれ解析しました。ここで、横軸が転生前の、縦軸が転生後の能力値を表します。各能力で異なるデータ分布が確認されました。

転生前後における野手能力値の変動

ミート・パワー・守備
0~40 / 40~60 / 60~90 / 90~100 の4つのグループで線形性が存在することがわかります。各グループ内では、能力が大きいほど弱体化の影響が大きくなります。ここで注目すべき点として、グループの境目付近では、転生前後で能力の大小関係が逆転していることです。たとえば、パワーが61である選手は転生後に45に減少します。一方で、パワーが59である選手は転生後でも55程度にしか減少しません。これは、能力減少による過剰な弱体化を保護することが目的であると考えられます。このことを踏まえると、能力値が30-40、50-60、80-90に位置するとき、最も弱体化の影響を受けにくいです。

走力・肩力・捕球
これらの能力値の変動は全体を通して共通の傾向をもつことがわかります。これらの能力は過剰に弱体化されても、栄冠ナインではあまりパワーバランスに影響しにくいとみなせます。一塁手のように、肩力や走力を上げなくても守備機会で問題が起きにくい守備位置が存在します。また、私の経験上、捕球に関係なくエラーが生じるという印象とも一致しています。

野手能力値における弱体化の傾向

つづいて、転生前後における野手能力値の差分について解析しました。ここで縦軸は、転生前に対する転生後の減少値を表します。そして、それらの減少値について線形回帰モデルで近似直線を作成しました。これらのデータ分布は近似直線と重複しており、すべての選手で共通の弱体化の措置が施されているとみなせます。

転生前後における野手能力値の差分と線形回帰近似

ミート・パワー・守備
まず、能力値が60以上であるとき、能力値が大きくなるほど、減少値も大きくなります。とくに、90以上であるとき、30 %以上も減少しています。選手の個性を再現しつつも、ほかの能力とのバランスを調整することが目的であると考えられます。 次に、能力値が40-60であるとき、差分は一定となりました。さらに40以下であるときは、転生前より転生後では能力値が高くなりました。したがって、ミート・パワー・守備は全選手に共通して重要な能力であるため、最低限の保証がされているとみなせます。つまり、打撃型あるいは守備特化の選手ほど弱体化の影響を受けやすいことを示します。

走力・肩力・捕球
差分においても、すべての選手で共通の弱体化の傾向をもちました。また、すべてのデータポイントを線形回帰モデルで近似すると、高い近似性能を達成しました。このことより、転生前の能力値が判明していれば、転生後の能力値を高い精度で予測できます。また、能力値の弱体化は線形変換で表されるため、選手間の優位性は転生後でも変わらないといえます。つまり、走力・肩力・捕球に秀でている選手は転生後でもその魅力を失わないとみなせます。


野手能力値における弱体化の傾向は以下のようにまとめられます。

・野手能力の弱体化の傾向は すべての転生OB選手で共通
・ミート・パワー・守備は弱体化のための最低保証が存在
・転生後の能力値の弱体化は 転生前の能力値から予測可能
・走力・肩力・捕球に秀でている選手は転生後も優位性を保持

投手能力値の弱体化

つづいて、転生OB投手49名を対象に、転生前と転生後の能力値の変動について解析します。ここで、球速と変化球に関しては、マーカーの大きさは重複するデータポイントの数を表します。

転生前後における投手能力値の変動

球速
転生前と転生後で球速の分布は線形性をもつことが示されました。ただし、江川卓の158 km/h は140 km/h に弱体化しました。つまり、速球派の投手には弱体化が著しく働きます

コントロール・スタミナ
0-40 / 40-60 / 60-100 の各グループで異なる傾向が存在することが確認されました。これは、各投手の投球タイプに該当すると考えられます。先発型の投手は、スタミナが優れています。速球派の投手はコントロールが著しく低下します。リリーフ投手はスタミナが60 以下に抑えられています。これらの特徴を維持したまま弱体化すると、ゲームバランスに影響すると考えられます。また、グループの境界付近の選手では、転生前後で能力値の大小関係が逆転しています。このことを踏まえると、コントロールが低い速球派の投手やスタミナが乏しいリリーフ投手が弱体化の影響を受けにくいと考えられます。

変化球
転生前後で、変化球の総変化量が大きく変動しました。中でも、転生前に変化量が13である軟投派の投手も、転生後には変化量は6程度に減少しています。また、各球種の変化量は、多くの球種は変化量2程度で落ち着いています。中でも、変化量が6以上である決め球も3程度まで減少しています。さらに、変化量が1である変化球は転生後に消滅することがあります。つまり、変化量が2~4程度である球種を複数もつ投手が弱体化の影響を受けにくいことを示唆しています。

投手能力値における弱体化の傾向

つづいて、転生前後における投手能力値の差分について解析しました。コントロールとスタミナに関しては、線形回帰モデルで減少値を近似する直線を作成しました。これらのデータ分布は近似直線と重複しており、すべての選手で共通の弱体化の措置が施されています

球速
球速は、いくつかの段階に分けて弱体化が施されます。球速が速くなるほど、弱体化の影響は大きくなりました。転生前は138 km/h から158 km/hに球速データは分布していますが、転生後は128 km/h から 145 km/h に分布しています。このことより、転生OB投手の最大球速は145 km/h に限定されているため、速球派の投手は魅力が失われているとみなせます。現実では球速が出にくいアンダースローの投手が不利に働かないように、公式運営でゲームバランスを調整していると考えられます。一方で、現役投手においては、佐々木朗希(164 ⇒ 158 km/h)や大谷翔平(163 ⇒151 km/h)という反例が存在します。このことより、OB選手と現役選手では異なる弱体化の措置が実施されています。公式運営の贔屓で弱体化の傾向が変わることが示唆されます。

コントロール・スタミナ
60-100 のグループでのみ相関関係が確認されました。一方で、そのほかのグループでは一定値しか変動しませんでした。したがって、それぞれ最低限の保証が能力に施されています。つまり、コントロールやスタミナに優れている投手は弱体化の影響を受けやすいです。また、転生前にスタミナが40以下である選手は、転生後では40以上の値を記録しました。これは、スタミナを必要としないリリーフ投手でも栄冠ナインで活躍するためには40以上の値が必要であることを示唆しています。

変化球
総変化量の変動では相関関係が確認されました。つまり、総変化量が大きい軟投派の投手ほど、その強みが失われていることを意味します。球種別の変化量に関しても同様に相関関係が示されました。したがって、本来ならば決め球となるであろう球種の曲がりが甘くなるため、軟投派の投手の魅力も失われています


野手能力値における弱体化の傾向は以下のようにまとめられます。

・投手能力の弱体化の傾向は すべての転生OB選手で共通
・コントロール・スタミナは 弱体化のための最低保証が存在
・転生後の能力値の弱体化は 転生前の能力値から予測可能
・複数の球種で決め球をもたない選手は 弱体化の影響を受けにくい

パワプロ2024の転生後のOB選手の能力予想

弱体化の傾向が判明したため、パワプロ2024 HPで公開されているOB選手の能力値を予測します。

イチロー(転生前)

パワプロ2022に登場したときと比較すると、転生前の段階で本作のイチローは全体的に能力値が低下しています。このとき、弱体化の傾向を反映すると、以下のように予測できます。ミートは前作よりも伸びていますが、ほかの能力値は前作以下の性能です。また、青特殊能力の数も低下しているため、栄冠ナインにおける転生イチローの能力は前作よりも弱体化が著しいとみなせます。

弾道   3 ⇒  3
ミート 94 ⇒ 70(B)
パワー 63 ⇒ 48(D)
走力  92 ⇒ 65(C)
肩力  94 ⇒ 68(C)
守備力 84 ⇒ 59(D)
捕球  73 ⇒ 50(D)

岩隈久志(転生前)

今作で新規で登場する岩隈久志は、優れた青特殊能力をもつ好投手です。このとき、栄冠ナインにおける転生能力は以下の通りです。決め球は失いましたが、複数の球種を保持しています。またスタミナも優れているため、初年度の夏大会から先発完投を果たせそうです。

球速 148 ⇒ 137
コン  81 ⇒ 57(D)
スタ  82 ⇒ 62(C)
←変   2 ⇒ 1
↓変    5 ⇒ 2
→変   4 ⇒ 2


新作発売後に転生後のOB選手の能力を確認しますが、400名以上も収録されているため時間がかかります。そのため、今回の弱体化の傾向に基づいて、ある程度精査することを検討しています。

おわりに

本記事では、パワプロ2022におけるOB選手の転生後の能力値について解析しました。解析結果より、特定の能力に秀でている選手ならば、弱体化の影響を受けにくいということが判明しました。ただし、OB選手と異なり、現役選手は弱体化が緩やかであることも確認しています。これは、青特殊能力の数がOB選手よりも乏しいことが原因だと考えられます。また、パワプロ2024においても同様の弱体化傾向があると想定しています。あくまで目安程度ですが、OB選手の能力が判明次第、有力選手の見極めを発売後に取り組む予定です。

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