【#5】『スタンフォード式最高の睡眠』
僕は受験生の頃、48時間寝ないチャレンジという非常にばかげた企画を、たった一人で敢行したことがある。エナジードリンクやガムを大量に買い込み、とりあえず眠くなる限界まで勉強をしてみようというものだ。
結果はもちろん大失敗。しかも、とても48時間起き続けるなんて無理だった。大学生になっても、僕はこの手の失敗を繰り返した。成功者には短眠の人が多いと感じ、それをまねようとしたが、やはりそれも続かない。僕はいわゆるショートスリーパーへの憧れを払拭できずにいたのだ。
さすがに成人式も終えて法律上も大人になった僕は、ショートスリーパーを目指すのはばかげたことだとわかっている。それでもなんとか睡眠を最大限に効率化して自分のやりたいことを出来るようにしたいという思いから、この本を手に取った。
そこには、素人が知るには十分な根拠付きの説明とともに、睡眠に関する基本的なことが書かれていた。この記事では、『スタンフォード式最高の睡眠』を読んで自分が今後大切にしようと思った気づきとそれをどう生かしていくかの「to do」も書こうと思う。また、睡眠に何か悩みを抱えた人に、この本をお勧めできればとも思う。
睡眠負債はたまっていく
僕たち一般ピープルは睡眠が足りていない状況のことを「最近睡眠不足でさぁ…」なんて言葉で表現する。しかし、眠りの専門家は睡眠が足りていない状況のことを「睡眠負債」がたまっていると表現するらしい。
睡眠負債がたまると、日中にマイクロスリープと呼ばれる居眠りを起こすのだという。マイクロスリープは脳波で確認できる瞬間的な居眠りのことだ。日中ぼーっとしているあの瞬間が、もしかしたらマイクロスリープの状態なのかもしれない。
これは一種の防衛反応だという。睡眠負債のある状態は、脳が防衛反応を起こすくらいに危険な状態だということがわかる。それならば、どうすればいいのか?
大量に寝るというのが一番手っ取り早い解決策になりそうだ。だが、今の日本人に一日9時間も10時間も寝る時間はあるだろうか。自分はやりたいことがたくさんあるのに、毎日そんなに寝てしまっていいのか。しかも睡眠時間が長すぎるというのも、逆に認知症発生率が上がったり、死亡率も高くなると言われている。
また、週末の“寝だめ”には効果がないということも書かれていた、睡眠負債とは一日限りでどうにかなるものではないのだ。
だからこそ、量よりも質で睡眠をより良いものにしていこうというのが『スタンフォード式最高の睡眠』の主張なのだ。
睡眠の質は始めの90分できまる
睡眠の量は、どうにもできない。やりたいことは沢山あるし、やらなければいけないこともたくさんある。かといって睡眠時間を削るというのもまたナンセンスな話だ。必要な睡眠時間は遺伝で決まっているらしく、どれだけ頑張っても一般人が短眠で昼間にハイパフォーマンスを発揮しようというのは無理な話なのだという。
それなら、必要最低限の睡眠時間(僕にとってはおそらく5.5~6時間)の中で睡眠の質を上げていこうという話になる。
人間は眠りに入るとまずは深いノンレム睡眠にはいる。およそ90分から120分続くノンレム睡眠が終わると、比較的眠りの浅いレム睡眠に入る。
※レム睡眠は rapid eye movementの略で眼球が校則に動く状態のことを言う。体が寝ている時にピクッと動くのもこの状態だろう。
そしてレム睡眠が始まるとまたノンレム睡眠に入る。これを朝までに約4回繰り返すのだが、第2周期、第3周期、第4周期と進んでいくうちにノンレム睡眠はどんどん浅く、短く、レム睡眠の割合が増えるのだ。
始めの90分とは、この時の第1周期のノンレム睡眠のことを指している。この一番深い眠りの部分の質を上げないと、どれだけ長く寝てもその効果は頭打ちだというのだ。
逆に、どうしても明日までに仕上げなければいけない課題があるときでも、最悪の場合いつも通りの就寝時間から90分寝てしまえば質のいい90分は取れることになる。明け方にコンディションの悪い状態で2時間寝るよりは先に90~120分寝てからやるべきことに取り掛かった方がよさそうだ。
質の良い90分のための二つのスイッチ
さて、質の良い90分のためには寝る前にどのようなところに気を付ければ良いのか。この本には、かなりのスペースを割いて説明がされている。
眠りのためのスイッチは二つ、体温と脳だ。
体温のスイッチ
詳しくは本を読めば書いてあるのではここでは簡単に。人間には二つの体温がある。皮膚温度と深部体温だ。通常、皮膚温度よりも深部体温の方が2度ほど高いのだという。
しかし、眠くなる時にはこの差が小さくなるというのだ。良い眠りのためには深部体温と皮膚温度の差を小さくすることが必要になる。すなわち、深部体温を下げて、皮膚温度を上げる工夫が必要なのだ。
人間の体の特性として、深部体温は上がったらそれよりも下がろうとする傾向があるらしい。ここで役に立つのが入浴だ。15分ほどの入浴を就寝の90分前にしておくことで、ちょうど寝るときに深部体温は下がり始めるという。この時に、手足を適度に温めて置けばさらに気持ちよく眠ることができる。
脳のスイッチ
どれだけ体温に気を使っても、脳が興奮していたら良い睡眠に入ることはできない。脳のスイッチを練る時間に合わせてだんだんとオフにしていくことが大切だ。
考えるべきなのは、どれだけ脳を退屈させるかだ。入眠の時間を一定にして、環境も一定にする。寝る前にいつもと違うことやわくわくすることをしていると、野は眠るのに最適な状態ではなくなってしまう。
本の中ではこちらも様々なことが書かれていたが、それをただマネするだけでなく、自分の生活の中でどのように工夫したら寝る前の環境が一定になるかを考えることが何よりも大切だろう。
睡眠と覚醒は表裏一体
良い睡眠のためには、良い覚醒(起きていること)が欠かせない。これは逆のこともいえる。良い睡眠は朝起きた瞬間から始まっているのだ。
ここでは光と体温で覚醒のスイッチを入れる。これも具体的なことはたくさん書いてあるのでぜひ本を手に取ってみてほしい。体温に関しては寝る前の逆、手足は冷やした方が良いのだろう。
簡単なことだが冷水で手を洗うこともオススメされていた。
my to do
本を読んだり何かを学んだあとには、必ず自分の中に取り入れて行動に移さなければいけない。今回は3つ、質の良い睡眠のために自分でも取り入れてみようと思ったことがある。
鼻呼吸を一日三回
どうやら口呼吸はあまり睡眠にとっては良くないらしい。鼻から吸って鼻から吐く、腹式呼吸は寝ている間に意識することはできないので、日中に10回の腹式呼吸を3セット取り入れることにした。
これによって副交感神経が優位(リラックスの状態)になれば、自然と夜の寝付きもよくなるのではないかと思っている。
アラームを本当に起きたい時間の20分前にかける
睡眠の1周期は90~120分だと紹介した。人は眠ってから、浅い眠りと深い眠りを繰り返しながら朝を迎える。
朝起きるとき、眠りの浅い状態で目が覚めればすんなりと起きることができるそうだが、自分がアラームをセットした時間が必ずしも目覚めの良いときとは限らない。
だからこそ、2回アラームを鳴らすのだ。一回目のアラームは微音で鳴らす。もしその時に眠りが浅い状態だったらすんなり起きられる。まだ眠りが深い状態だったら、その微音には気づかないで眠り続けるだろう。後になる大きな音のアラームで気持ちよく目覚めれば良い。
朝方はレム睡眠とノンレム睡眠が約20分おきに変わっているらしい。これを利用したアラームセット法なのだ。
最後に
人は人生の3分の1を睡眠に費やすという。それを減らそうと努力するのもいいのかもしれないが、それでも人生のかなりの時間は睡眠に充てることになる。ならばその質を確保することに尽力した方が良いと思ったのでこの本を手に取った。
睡眠について、最新の研究データをもとにした方法を知ることができたのはとても貴重だった。知っているだけでも普段の行動が変わることは沢山あると思う。
その中でも僕は上に書いた3つの目標を作った。これらは簡単にできることだが意識していないと忘れてしまう。
定期的にTwitterなどでつぶやきながら繰り返しアウトプットしていきたい。
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