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読書手帳


2021.09.11


「渡りの足跡」を読み終わった。



心が透明になって、梨木さんと共にふわふわと漂っているようだった。(梨木さんはもちろん、しっかりと地に足をつけて歩いていらっしゃるのだが)

恥ずかしながら、鳥や地形について疎く、全くと言っていいほど知らない名前ばかりだったのだけれど、分からないなりにも調べつつ、注釈を読みつつ、3日間かけて読んだこの本だった。(他の本と並行してたのもあるが)


北海道からカムチャッカ半島付近、そしてロシアまで、渡り鳥の足跡を辿っていく梨木さん。
鳥だけでなくその知識は植物まで及び、この世界にある植物含めた生き物全てが脳内に仕舞ってあるのでは?!と思うような博識ぶりであった。
そして知識と知識を結びつける彼女の考え。


渡り鳥たちは、真っ直ぐ行けば近い距離であっても、わざわざ迂回したコースを取ることがある。
『中継地の中に格別好きな場所』があるのだろうか。花、草木、そして湖など、お気に入りの風景を見ながら、渡っていくのだろうか。想像するのが楽しくて、この本を読むまでは考えたことがなかった渡り鳥たちの心中を想像した。



辿り着いた場所に、求めていたものがなかったとしても。
『飲むべき水も憩うべき森も草原もなくなっていたとしても、次に取るべき行動は最善の方向を目指すため、今出来ることをただ実行してゆくことだけで、鳥に嘆いている暇などはない。』

今まで、鳥を見つけても、「鳥だ〜」としか思わなかったけれど、鳥の名前や習性、性格を知れば、いつも歩くただの池の辺りが、とても楽しい散歩道になるんだなと感じた。周りのことを、もっと、知りたい。
本当に本当に素敵な本で、楽しい読書時間であった。

この本で知った、とっても可愛い鳥「ニシツノメドリ」

まだ夕方18時前。
残りの帰省期間を、母の箪笥の上の蔵書の山から見つけてきた、梨木香歩さんのエッセイ2冊と共に終えようと思う。
一ヶ月余りも居たので、ホームシックになりそう。

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