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ピースボート、地球一周のポスターを貼る話。
ひょんなことから、地球一周の旅に出たいと思い、ポスターを貼っている。
よく居酒屋のトイレで見るやつ、というと
たいていの人は
「あー、あれね!」といってくれる。それ。
地球一周のポスターを貼ると、無料で船に乗れる。
その数、約6000枚。
「え、6000枚貼ればただ乗れんの!?最高じゃん!!!」
というのが大体の周りの反応。私も最初は同じことを思っていた。
でも、思ってるほど楽じゃない。
もちろん悪い人ばかりじゃないので、貼れるときはぽんぽん貼れる。
何なら、暑いからとキンキンに冷えたカルピスを出してくれたり、
もっといい時は、ビールとつまみなんか食べさせてもらえたり、
さらにいい時は、現金をくれる気前のいい人もいたりなんかする。
そういう日には、この世って捨てたもんじゃないな、とか
人に優しくしよう、とほっこりした気分でいられる。
でも、でも。反対の日もある。例えば今日。
まず全然貼れない。それはもう、絶望的なくらいに。
そしてたくさんの罵声を浴びる。
元々、
店側にはデメリット9割、応援の気持ち100%を要求している活動なので
店側からすると迷惑なことは重々承知である。
でも、
何軒も何軒も「ピースボート嫌いなんだよね~」とか
「二度と来ないでくれる?」「ドンっ(ドアの閉まる音)」とか
「話し方が気持ち悪い。ほんとに日本人?」とか言われるのが
立て続けに続く&良い人に巡り合えない&生理初日&35度の猛暑&
8キロのリュック(ポスターと回収したゴミが入っている)&
貼り替えるポスターにおっきい虫がへばりついている
とかだと、さすがにメンタルが終わる。
今日のフィニッシュは、汗だくで乗った電車の中で
ぶつかったサラリーマンからの舌打ちで、
帰るころには半泣きで悲しい気持ちでいっぱいだった。
私はお金がないので、あくせくあくせく頑張っているが
何もしないで(誰かのお金で)地球一周の船に乗れる人のことや
こんなに頑張って乗れても楽しくなかったときのことを考えて
「なんのためにこんなに頑張ってるんだろ、」と絶望的な気分になる。
🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀🛀
風呂に入る。一端落ち着く。
逆のことを考える余裕が出てくる。
でも、でも、
何の苦労もせず船に乗る人たちは、
このクソ暑い時期のポスター貼りの後に飲むと決めている、
ガムシロップを大量に投入した、コンビニのアイスカフェラテの、
脳天に突き刺さるような美味しさを知らないだろうし、
脳みそと精神と脚力を使い果たした後の
サウナの気持ちよさを知らないだろうし、
飼い猫と戯れる何気ない時間のありがたみを
知らないだろう。
思えば、全部、そうやって乗り切ってきた。
他の人ができていることを
お金がない、とか、
能力がない、とか言いたくなくて、
自分にはできない、と認めたくなくて
自分に妥協したくなくて、
全部頑張ってきた。
ポスター貼りだって、辞めようと思えば辞められる。
貯金がないわけじゃないので、
世界一周は諦めても、アジア旅行くらいなら、行ける。
こんなに苦しくても、しんどくても、それでも頑張るのは
自分のプライドだし、負けず嫌いな気持ちだし、
今の自分がいるのは、この気持ちのおかげ。
そう思うと、いい時も悪い時も全部ひっくるめて自分だし、
休むときは休みつつ、また頑張ろうと思える。
お腹がすいてきた。1時間前は、あんなにめそめそしていたのに。
明日もバイト。この後もライターのバイト。
頑張っている自分は、嫌いじゃない。
頑張ろう。