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【あえて60年代風の漫画制作へ】もう一度漫画を書こうと思った理由・その5

『コロナウィルスの蔓延』
これは各種イベントが取り潰されてしまい、弊社のも大打撃になった。

イベントの売り上げ+ショップへの卸

というスタンスで来たのだが状況的にはかなり厳しかった。
今までは新作においての発送作業がネックでその部分をショップの方の協力で回っていたのだが、実際卸価格にすると現状乗り切れるか怪しい部分があった。
イベントでの売り上げは定価で販売できるが、その部分がすっぽり抜けてしまったのである。

そうなるとどうしても『自社通販』というものが大事になってくる…
しかし版権物は1度の注文量が多い。
その部分をどうクリアするか…

というのを必死に考えてみた。
おおむね、一度の数を決めていきながら数回に分けて製造、販売する。
という形であれば無なく発送作業もしながら生産もできる。
という結論に至った。

しかし、それにはやはりシュミレーションが必要だった。

そこで、このコロナで時間がいつもより自由になる。
という逆転の発想でずっとやってみようと思った『オリジナルもの』を始めてみることにした。
オリジナルは自分の裁量で数量が決められる、ということもあり今後の通販や販売方法・抽選なども含めて良いテスト材料だった。

ではまずオリジナル作品をどうするか…

構想としては

・ソフビ展開
・ストーリー展開で付加価値をつける。

という考え。
コスミックVのように絵物語にしないでも、文章とカットで同人誌のようなものを付属させる。
転売対策として主人公2体をセットとし、価格を上げる。(単価が高いことは転売防止策に有効である)

そこを踏まえてお話を考えることとした。

まず、キャラクターや舞台設定。

・レトロ風
・少年が主人公
・ヒーローとロボットが戦う

というような設定。

早速キャラクターをデザインし、大まかな設定を考えた。
レトロ風というのはやはりソフビには丸いロボットが似合うのでそれにちなんだデザインを上げた。
そして早速イラストカット描き、ネットに上げてみる。




パチ怪獣大図鑑でやってのけたようなメタフィクションとして当時の雑誌を開いて写真を撮った。
ような画像加工をしてTwitterやインスタなどに上げた。

『え?これなんて漫画ですか?』

という反応。

意外と好評だったのでこの形で進めよう、と考える。

これが2020年5月。

このまま設定を考えながら進めていくが、どうしても一人でいるとお話に深みが出ない。
やはり編集と打ち合わせしながら、アイディアを出しながら漫画を描く、というのは大事な作業でもあるのだ。
しかし一人なので、ここは友人の力を借りたい。

そこで完本ダグラムやターンエー全記録などを手がけた『高嶋規之氏』に設定補助をお願いした。
もう10年以上の友人だが、今回氏にお願いしたのは大きな理由がある。

まず歴史・政治に趣旨が深い。
そしてなにより数少ない『鉄人28号』への理解の深さだった。
鉄人28号といえばロボット漫画の源流ではあるが、そういうパイオニア的な象徴としての作品としてのイメージが強い。
しかしながらその戦略的な戦闘・舞台・スリリングな展開を同じように理解し、そして鉄人の素晴らしさを話せる唯一無二の友人(先輩)だったからだ。

早速連絡をし、舞台設定を固めていく。
落論こちらで大まかな部分で大体固めてはいたものの、やはり自分の気がつかなかったことを次々と指摘してくれアイディアもいただける…

そうして、お話の骨子が出来上がり当初のようにイラストに文章を添えてあらすじを本にする…
ということが固まった。

タイトルを『太陽ロボシルバークロス』




メインメカをシルバークロス。
サポーターとして太陽仮面とした。

これらは舞台を69年とした。
というのは先にも述べた通り、ソフビにあった世界観がやはり60〜70年代初頭なのだ。
その違和感を払拭すると同時に、高嶋氏の『近代の戦闘ものでは兵器が優秀すぎてドラマが殺伐となってしまい描きにくいので良いのでは?』という意見もあり69年と設定した。
こちらの作家性をよくご理解いただいているのでこういう面ではとても助かった。

早速、原型を初めた。
冊子と同時進行。
ソフビのオマケにつける予定であるために着地は一緒でなければならない。

が、そもそも『イラストと文章を構成する』ということよりも『漫画にする』方が早い!
あっという間にその結論に辿り着いた…

さて、イラストはどうするか…
と考えたが、それはアシスタント仕事で散々パッチワークをした来たのでコマ割りに描いたイラストを差し込んで再構成した。

ただ、丸ペンを使って漫画を書く…
というには色々と準備や正面向かって漫画を書くことは時間と労力が激しい。

69年頃の漫画、としたのはこの辺も理由があった。
絵がゆるくても大丈夫、とたかを括っていたのだ。
コピー用紙にミリペン、トーンは貼らない。
ということで大量ページをクリアできるのではないか?
と考えたが、それは成功した。

漫画と今後の展開や設定含めたシルバークロス読本が完成する。
久々に描いた漫画は22pという中編となった…





もちろん時間との対決だったというのもあったが、お話自体は自分なりに良かったと思っていた。
が、続きは書くつもりはなく設定だけに止めようとした。

で絵もやはり久々に描く漫画は楽しかった。
売れるかどうかは別として、初回のソフビに封入したのでかなりの数を配布できたと思う。

ただ、やはり心のこりが大きかった…
久々に描いた漫画の絵が下手くそでびっくりした。
ミリペンやボールペンで書いた、というのもあるがとにかく下手だ。
後半になってやっと、という感じだがこれをお客さんに販売する、というレベルなのかどうかももうわからない。
ものすごく心に引っかかったのだ。

と同時に、やはり1話を出せば続きが読みたいという嬉しいお声がけもいただいている。
が、正直反応はよくわからない。
面白いのか?面白くないのか?
自分の中で全くわからない。
が、とにかく楽しかった。

そして、自分の中で

『続きが描きたい!』

という気持ちが大きくなる…
たとえ世間に一方通行になってしまってもやはり描きたい、お話を作りたいんだ…
どんな漫画でもいい、時間が許す限り描きたい!

と改めて実感することとなった…

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