ソフビけもの道(その5)ソフビ原型を作る
最近、ちょっと露出も増えてきたのでアレなのですがわりとソフビの作り方も聞かれるようになってきたのですがおおむね2種の方に分かれてますね。
○ひたすら質問しまくる人
○ひたすら原型を作り始める人
おそらく、なんだけどひたすら聞く人は失敗したくないんだろうなあ…
という印象。
気持ちはわかるんだけど、ものつくりはやはり手を動かしてナンボなので体感的には作りまくっている人の方が伸びは早い、という気がします。
成功の話を聞くよりも失敗体験から学ぶことの方が多い。
もちろん、お金がかかるので失敗したくない気持ちはわかるのですが、お金が飛んでしまった絶望感から2度と失敗しなくなるもんです(笑
百聞は一見にしかず、です。
つまり手を動かすことがソフビを作る近道です。
さて、本題。
上野で怪獣軒を紹介してもらう。
ご飯を食べながら色々と話をしていくが、そもそも自分自身がソフビの記憶というとブルマアクのソフビのフォルムが好きで多少は持っていたが、おもちゃ自体は小学生になった段階で捨てられてしまっている。
それ以降のおもちゃ大変はプラモデルのみだった、という少年時代。
むしろ大人になって復刻ブームが起こり、またテレビ探偵団や宇宙船も含め世はレトロブーム。
その波に押されてガレージキットが流行り始め、どちらかというとそちらにのめり込んでいた。
が、やはりマルブルスタイルというのにはものすごくシンパシーを感じており、漫画連載をしていた頃はソフビマニアをテーマにした話も描いた。
ただ価格的にも買える時代ではなかったので『いーなー』くらいの状態。
考えてみれば、そんな知識だけでガチのソフビファンであるおおさかさんと怪獣軒相手に話をしたモンだ(笑
怪獣軒の代表自体は長らく闘病生活をされており、入退院を繰り返しているという状態だった。
こちらはプレゼンとしてお会いしてるのでどんなものを作るべきか、とか現在なかなかうまくいっていないという話が主だったが、そもそも怪獣軒も自分には全く期待はしていないな。
という雰囲気はものすごく伝わる。
そもそもソフビを作るというのはセオリーがいっぱいあり、それを指摘すると皆悩んでしまう…
ということの繰り返しだという。
『できればヒーローをやってほしいなー…みんな嫌がるんだよヒーローとロボット。その辺を作ってほしい』
と言われたのをよく覚えている。
『でも大変だよ?売れないし。本当に売れてない。だからあまりお金をかけられないんだ』
という後ろ向きの話も多い。
それくらい業界自体が落ち込んでいた。
ただ、それとは別にデザイナーズソフビも現れておりそのブームが一度さりながらもまた上がってくるかも、という兆しはあったのかも。
という感じか。
とにかくネガティブな話しか出ないが、それでも怪獣軒が取引のあった『宣弘社』と『円谷プロ』という作品の造形ができるというのは魅力的だった。
気持ちが上がらない怪獣軒とは別に、むしろやってやろう…
という気持ちが起きる。
そもそもチャレンジすること、ダメと言われるとやってみたいという性分なのでというのはあったが、不安もものすごくあった。
ひとまず、怪獣軒からの原型のアドバイスは以下の通り
○ソフビ原型の複製のやり方
○ワックスの使い方と温度
○ひけを考えた造形をして
おおむねこの3つ。
複製のやり方は注ぎ口を1つ(気泡を抜けを考えたガレキとはちょっと違う)
固まっている最中に余計なワックスを流し出す。
シリコンをキンキンに温める。
ワックスの使い方はヤカンで溶かして流し込んで。
夏は〇〇度、冬は〇〇度。
引けの話はお腹はビール腹のおじさんくらいにして。
とにかく丸く作って。
この程度だった。
まあ、これだけじゃわからんよ(笑
まあ多分それくらい期待はされていなかったのだろうと。
だいぶ原型師を探しても見つからなかったのだろうし新規でもできる人がいなかった。
という感じからの期待のなさだったのかな?と後から思った。
そこから帰りに、おおさかさんに『やってみようかなあ…と思います』と伝えると
『スカルピーって焼いて固まる粘土使うらしいですよ』
と。
実際この辺、怪獣軒は原型を作ろうかなあ…と思ってる人にこの辺を伝えきれない部分も『まあやってくれたらラッキーだな』くらいの気持ちだったのかも、と。
それとは逆に、おおさかさんはすごく喜んでるのはわかった(笑
そんなおり、記録としては10月のこと。
スカルピーを使ってみる。
ひとまずこんな感じかと作ってみる
スカルピーは焼いて固まる粘土なために熱を加える。
130度を保てるオーブンレンジが必要となるのだが、なかなかそれだけ大きいものをさらに買うのはどうか?
卓上で作業できないとなかなか難しいと思い調べてところ、ほっとプレートで焼けるとか。
早速焼いてみがたが、意外としっかり焼けた。
そこから色々と実験をしてみる。
大体は硬化後に盛れるかどうかのテスト。
意外に難しかったりするが、まあなんとかなるだろうと。
スカルピーは硬化後に盛り付けるには向いてないよなのだ。
問題はこのホットプレートで30cm近くあるものが焼けるのか?
ということ。
今じゃ全然大したことじゃないが、当時は本当に苦しんだ。
おそらく、ステンレスのでっかいボールをふたにしたのではなか?
という記憶のみしか今回はデーターがなかった。
公にしてはいけないのかもな、という気持ちが強かったのだろう。
実際、後年にワックスの画像をブログに上げたら怪獣軒に他のメーカーからものすごい勢いで苦情がきたそうだ。
今では考えられないと思うがそういう時代だったのだ。
まあ、自分自身は知らんがなと一蹴していたし、怪獣軒自体も『知ったところでできないでしょ?問題ないよ』との心強いお言葉をもらっていたので全てガン無視!(笑
まあでも当時は結構気を遣っていました。
スカルピーとの相性は非常に良かった。
今まで乾燥に時間がかかっていたのがうぐに固まりすぐ作業ができる。
せっかちな自分にとっては夢のような素材だった。
2010年、10月3日に使い始めたスカルピー。
そして記録によると、最初の怪獣軒との打ち合わせを10月10日前にやっていたようだ。
丸く作る、抜きを考えると言われても全くわからない。
現状を見て指示をもらうしかない、と考えていたのだと思う。
すぎに日取りを決めて現物から打ち合わせをする…
レッドバロンを作った。
画像をみればその稚拙さに驚かれると思う。
もちろん、
怪獣軒も黙った。
沈黙が続き、一気に期待が消え、ため息が出たのを感じた…
これが初めての打ち合わせである。