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ソフビけもの道(その10)量産塗装への道

ソフビを作るにあたって、金額的最大の難関は塗装マスク。

・色数が多い
・複雑な形
・線や文字、細やかな部分

これらは通常の塗装マスクよりもはるかに金額が高い。
場合によっては総額100万円以上はかかる可能性もある。

今回、レッドバロン発売において塗装マスクを作ることはできなかった。
そもそもシルバー仮面の売り上げが最終的には減価償却ができた程度。
とても次回作ができる状態ではない。

そうなると、塗装をハンドペイントしなければならないのだ。
しかしながら、どうしてのレッドバロンの顔のラインを塗るのはほぼ不可能であった。
なので、この部分のみ塗装マスクを依頼することに。

残りはハンドペイントである。

しかし、最低でも100個は生産せねば色々な諸経費をクリアするのは難しい。
シルバー仮面はそれをクリアすることにかなりの時間を要した。

まず考えなければいけないことは『自作の塗装マスク』である。
ポリパテで作るなど色々な方法があるが、レッドバロンに関しては割と難しい部分に塗装を施さなければいけない。

こんなものを知ろうと同然の自分ができるはずがない。
が、やらなければいけない。

正直な話をすると、エアブラシもごく最近握った程度。
ましてやソフビカラーという塗料としては最難関の材料を使わねばならない。

塗料についての騒動は後にするとして、塗装マスクを作りを模索する。

はじめに考えたのが『バキュームフォーマー』だ。
こんなもの後々考えればわかるが、プラバンでは塗装マスクはできない。
なぜなら『塗料が乗ってしまう』。
つまりマスクに塗料がついてしまい塗れば塗るほど厚くなってしまう。
それどころか、ソフビカラーはプラを侵食・変形させてしまう。

そんなことすらわからなかった。
というより、誰も教えてくれない。
だからやるしかない。

とにかく思い立ったがやらなければいられない性分だ。

学生時代にホビージャパンの記事を見て簡易バキュームフォーマーを作った経験がある。
それを拡大解釈すれば良い。
そうして自作バキュームフォーマーを作る。

当時はバイトとはいえ破格の金額をもらっていたのでお金自体はそこそこあったが、それでも大型のバキュームフォーマの導入は難しい。
だから作るしかない、ということだ。


材料は

・タッグボックス
・金属の網
・ホース
・木材



まずはタッグボックスに穴を開ける。
ポリ製なので意外と難しい。
当時は材料の特性もわからないのでとにかく作る。
ポリプロピレンは軟質なのでやすりなどがかけずらい。
ドリルで穴を開けカッターで丁寧にカットしていく。

そこに掃除機のホースをつけるジョイントをはめ込む。


ホースが入った。




次に金網を貼り付ける。
空気が漏れないようにクッション入りの両面テープとアルミテープ。

これらをしっかりと貼り付けていく。


あとは蓋を作れば完成。

木枠で作る。
これで完成。

早速使ってみる。

まずは木枠にプラ板を貼り付けてコンロで温める。


そこから一気に掃除機で空気を吸い取る。
今回はレジン製のパーツで吸い取ってみることに。


実験なので複雑な形が良い。

何度もいうが、そもそも何もわからずに何かできないだろうか?
と挑戦しているので、わかっている人にとってはバカなのか?
と思うかもしれない。

しかし、やらなければわからないことはいっぱいある。
今回も学んだことは大きい。

やらずして説教を垂れる人間にはなりたくない。
よく友人から

『そんなのできるわけないじゃん?やらなくてもわかるよ』

と言われていたが、経験値というのはこういう部分によって積み重ねられる。
口や頭で考えるより行動できることが大事だ。
何より説得力がつく。

読んでいる方も馬鹿馬鹿しいと思われるかもしれないが、これでしか得られないものもあるのだ。

話はそれたが、ここからバキューム作業に入る。

金網の上に対象物を置く。


そして木枠に貼り付けたプラ板を一気に温める…

そのまま掃除機のスイッチを入れて一気に空気を吸い込む!

…あっという間にプラ版が形をとらえた!


しかし、そもそもの経験値が足りないので薄い部分もできて割れてしまう…
もっと色々と極めていけばなんとかなるのだろうが、実践的ではないことは一目瞭然だ…

別の方法を探さなければいけない。

ちなみに、このバキュームフォーマーはつい最近まで保管したあったが場所を取るので廃棄した…
苦い思い出の一つでもある。

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