人生最大の決断と、大きく変わった暮らし
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9月18日。この日私は、人生で最も大きな決断をした。4月からずっと、結婚を考えていた彼とのパートナーシップに向き合ってきた。約半年かけて出した答えは「彼とお別れをすること」。
9月か10月くらいに、彼の親戚のお家に挨拶に行こうと話していた。結婚指輪を買う資金も2人で貯めて、式場はこんなのがいいとか、彼が好きな野球をテーマにした式にしようとか、具体的な話もしてはいた。
のだけど。その話のすべてが、現実味を帯びないのを私はずっと不安に思っていた。結婚となればお金もかかるし、2人だけではなくお互いの家族も巻き込んだ一大イベントでもある。
それなのに、昨年の11月に仕事を辞めてから、彼は約1年間定職に就いていなかった。日払いバイトで食いつなぎ、趣味の野球とカードゲームに時間を費やし、ついには貯金も尽きた。
プロポーズだって、される気配すらなかった。これだけ具体的に話を進めているのに、なぜなのか。私だけが結婚を真剣に考えていて、彼は私との結婚を本当は望んでいないのではないか。そんな疑念すら頭をかすめた。
結局、貯金が尽きても転職活動をしようとしない彼を見て、私は別れを決断せざるを得なかった。自分の人生を守るためには、この人と離れる以外の選択肢が浮かばなかった。
別れると決めてから、引っ越しをするまでは1か月とかからなかった。思いつく限りの人に連絡をして、すぐにシェアハウスの管理人さんと繋いでもらうことができた。
もともとシェアハウス生活に憧れていたのと、旅暮らしで他人との共同生活には慣れていたこともあって、内見した日に即決。
彼と別れる寂しさや未練はまったくなくて、新生活に心を躍らせながらも淡々と荷造りを進める。ダンボール5つ分の荷物を宅急便で新居に送り、最後は顔を合わせることすらないまま同棲先を後にした。
引っ越した翌日にはマッチングアプリも入れた。すぐに大量のいいねが届き、まるでお問い合わせ対応のようにメッセージを返す日々が1週間ほど続いた。スマホを開いている時間のほとんどを、マッチングアプリでのやりとりに充てたほどだ。
シェアハウスの住民さんと交流する場にも、積極的に顔を出すようにした。一緒に温泉に行ったり、飲み屋街の居酒屋でお酒を飲んだり。常に一緒にいるわけではないけれど、何かあったら助け合い、家の中で顔を合わせれば自然と会話が生まれる、心地よい距離感。
目まぐるしく動く日々の中で、盛大に体調を崩した1週間もあった。食中毒になり、ベッドとトイレの往復をする日々。
そんな中で浮かぶのは、なぜか元彼とうまくいっていたころの思い出たちばかりだった。ちょっぴり色褪せたその思い出は、体調不良で弱った私の心を切なく締めつけた。
別れてから初めて、恋が終わった悲しみを味わったようにも思う。同棲先から逃げるように立ち去って、心も暮らしもせわしなく動くなかで突如訪れた、悲しみの波。「感情を味わうことを忘れたらいかんよ」という、体からのメッセージだったのかもしれない。
もう私のキャパはとっくにあふれかえっていて、体は限界を迎えていたのだと思う。一度立ち止まって休まなければ、再び前に進む力を蓄えなければ。
ほとんど記憶のないまま、あっという間に時は過ぎていった。気づけば、別れを決断したあの日とは、まったく違う暮らしを送っている。
決断すれば、人生は動く。その決断が大きければ大きいほど、人生も大きく動くものなのだと思う。そして、その決断を正解にするのは、いつだって自分だ。
人生で初めて結婚を真剣に考えた彼との別れを決めたあの日の私を「正解だったよ」と言える選択を、これからも積み重ねていきたい。
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