第44話 新鮮で刺激的な関東滞在
彼との関東遠征が終わった後、私は関東に残って都内のADDress拠点に滞在していた。関東に住むライター仲間とオフ会をしたり、拠点で仕事をしたりしながらつかの間の関東滞在を満喫していた。
なかでも印象深かったのが、BOOK HOTEL神保町に泊まった時間だ。以前Twitterでこのホテルを知り、いつか泊まってみたいとずっと思っていた。
私は小さいころから読書が大好きで、本に限らず活字であればなんでも読んでいた。家にある本だけでは飽き足らず、辞書を読んだり家電の取説を読んだり、とにかく文字を読むことが好きだった。
そんな活字好きにとって、「本を読むために用意された空間」だなんて魅力的すぎる。普段はスキマ時間を活用しながら読書をする日々だが、BOOK HOTELに泊まれば思う存分本の世界に浸れる。
オーナーをはじめ、本が大好きなスタッフさんたちが作っているだけあって、本に対する愛が伝わってくる空間だ。フロアごとに本のジャンルがわかれていて、エレベーターを上がると本棚に各ジャンルの本が並んでいる。
部屋に入っても、靴箱の上からベッドルームまで、何冊も本が置かれていた。1冊ずつメッセージカードに本の紹介が手書きで書かれているのもたまらない。
本を読むために用意されたソファーとサイドテーブルもあり、あまりにも魅力的すぎる空間に心が躍った。
しかもこのホテル、自分の好みに合った本を1冊プレゼントしてくれるのだ。中身のわからない袋に入った3冊から1冊を選ぶ瞬間のワクワクは、今でもはっきりと覚えている。
この日は夕方からずっと本を読み続け、朝も早起きして1冊読んだ。普段は仕事の本ばかり読んでいるので、久しぶりに小説を読んでどっぷりと世界観に浸れたのは幸せだった。
映画を家で観るのと映画館で観るのとでは、やっぱり臨場感が違う。それと同じように、家で本を読むのとBOOK HOTELで本を読むのとでも、没入感がまったく違うのだと感じた。
図書館とも違う、1人きりで本の世界に浸れる贅沢な1日だった。