最近思うこと
この地域の人とは絶対に結婚できない、と悟ったのは、マッチングアプリで知り合った女の子と初めて食事に行って、ちょうどオムライスを食べ終えたときだった。それは、彼女が「よく『転勤族?』って聞かれるんだよね」と嬉しそうに言っているのを聞いて、「それ褒められてないよ」と口に出しそうになったのを堪えた瞬間だった。県外から引っ越してきた僕は、引っ越し先の人からしたら外の人間で、ここの子には相手にされないと薄々気づいていた。結局僕のような外の人間に近寄ってくるのは、そのコミュニティの中で打ち解けていない人間だった。打ち解けていないというのは協調性がないということとほとんどイコールで、そんな人を相手にできるほどの余裕は僕にはない。この地域は都会ではないから、つまり田舎者が集まった東京みたいな場所ではないから、当然同じ出身同士の結びつきが強い。協調性がある子は積極的に外の人間とは関わろうとしない、外の人間と関わるというのは仲間から外れることを意味しているから、ある意味では賢い。そんな賢い子には相手にされないと思った瞬間、やめようと思った。文化が違えば価値観とか習慣も違うとは頭の中で分かったつもりになっていたけれど、どこか分かり合えると思っていたのがバカだった。
協調性がない今回の子は、都会の薄い人間関係に慣れていた僕にとって好都合だと思ったけれど、直感で違うと思ったのはなぜか疑問だった。結局、僕自身も協調性のある人間を求めていたんだと思う。都会の人間は誰に対しても無関心で協調性がないようにみえるけれど、みんな平等に無関心なのだ。つまり、無関心という点で協調性がある。冷たいようでその冷たさの共同性みたいなものがあって、みんながそれで安心しているんじゃないか。せっかくの華金に無表情で自宅に帰ったその勢いでマッチングアプリをやめ、日曜の夜に台所のシンクを磨いていたとき、そう思った。
StingのEnglishman in New Yorkが頭に流れた。ここは日本だけど。
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