舐めてた映画で多幸感いっぱいになった。 韓国映画【ガール・コップス】
正直、この映画を舐めていたのです。
タイトルからして安直だし、映画ジャケットもなんだかなぁなデザインだし。
普通ならスルーしてしまいそうな映画だけれど、アフター6ジャンクションで女性ライターの方が「楽しいシスターフッド映画」としておススメしていて、あら、それなら見てみようと軽いノリで手を出したのです。
そしたらまあこれが!面白かった!!
*以下、最終的なネタバレはしてませんが、ストーリーには触れています。
2019年公開の映画です。主役はラ・ミランさんという75年生まれの女優さん。主にドラマや映画の脇役として多くの作品に出ている方。この人を主役にと、映画の企画が進んでいったというから、なんとまあ韓国映画界は懐が広いのでしょう。男性で言えば、ユ・ヘジンさんみたいな立ち位置かな?
ストーリーは、以前は女性刑事機動隊で活躍していたものの、結婚出産を経て徐々に脇に追いやられてしまったミヨン(ラ・ミラン)と、事件を起こして異動させられた義理の妹のジヘ(イ・ソンギョン)が同じ部署(市民の苦情受付課)に配属され、ここでアダルト動画サイトで動画を拡散すると脅された女性が来訪したことによって、二人がバディ化して事件を究明していく・・・というもの。
映画以外の韓国エンタメは疎いので、ジヘ役のイ・ソンギョンさんは初めて見たのだけど、長身でありながらベビーフェイスでものすごく可愛い。個人的には少女時代のユナちゃんを彷彿させる、ずっと見ていられる女優さん。
とにかく絵に描いたようなコテコテのコメディ。あ、アクションも相当がんばってます。空気感といい流れる音楽といい、なんとなく「あぶない刑事」を彷彿とさせたり(古い)。口汚く罵りあう姿やら盗撮班を追いかけるシーンやら(特に仁王立ちでセグウェイに乗って登場するシーンは爆笑)、下手な監督が撮ったら大やけどしそうなやりすぎコメディなんだけど、全部がガチっとはまって、最高に笑えます。脇を固めるちょっと嫌味な女上司や、ハッカーばりのコンピュータースキルを持つ同僚役の少女時代のスヨンちゃんも、なかなかのコメディエンヌっぷりです。
ふと振り返ってみると、メインがほぼ女性の警察映画って、ほんとに思い出せない。よーく探したらあるのかもしれないけれど、私は観たことはないと思うのです(チャーリーズエンジェルは警察じゃないし)。でも実際の警察では暴行事件やセクハラなど、事件の性質上、女性刑事主導で動くことはあると思うし、そう考えるとやっぱり、女性の地位向上を図る意味ではかなり先を行っていると思われる映画界でも、まだまだまだ、男女平等には程遠いんだなぁなんて思ったり。
この映画は、決して若くはない女性を主役にしたという心意気からも分かる通り、コメディながらも社会での女性の生きづらさをちゃんと取り上げていて。彼女たちの追う事件もめちゃくちゃ胸クソ悪いものだけど、現代の女性がふとしたきっかけで巻き込まれてしまいそうなものだし。
映画が重くなるのを避けてか、ミソジニー的な問題を深刻に見せてはいないけど、「女性だから仕方ない」とか、「あなたにも落ち度があったよね」とか、よく考えてみたら全く筋の通ってない理由で泣き寝入りをさせられてきた女性はもっと怒っていいはず!っていうメッセージが、突き抜けて明るい映画だからこそなおさら刺さって、なんだか色々考えさせられました。
映画としては少々(かなり?)アラもあるし、終盤に向けての展開も、さすがに無理があるでしょうと言った感じで、決して洗練された映画ではないけれど、それを上回るほどの多幸感があって、私は大好きな映画でした。
どこか、傑作コメディのエクストリームジョブにも通じる面白さ。大物俳優も特別出演で出てます。
極私的好き度 ★★★★★★★★(8)
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