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コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い8(稼げる弁理士・知財専門家になろう)

 前回は、企業が一人の弁理士に「幾ら」くらいなら払いやすいか?という視点で解説した。
 では、一人の弁理士、あるいは一つの特許事務所として「トータルでどのような売り上げを上げるか?」が次に気になってくるところである。
 

図1:過去の弁理士の期待する理想的な売り上げモデル

  過去の弁理士の多くは(筆者は弁理士になって20年。なったばかりの頃の周囲の特許事務所や開業したての弁理士は、このような理想を持っていたように思う)、図1のように、年に20~30件の特許出願等の依頼をくれるA社、B社、C社などのクライアントをもって安定させ、残りを中小やコンサルなどのちょぼちょぼで4~5千万の売り上げを確保する、というモデルを理想としていたであろう。
 このモデルであれば、1,2名の弁理士や技術者を雇用しても、一人をA社担当、一人をB社担当、自分はC社と全体などのように、役割分担や育成も容易である。
 しかし、前回話したように、10~20件の依頼を出すクライアント企業の売り上げ規模は「300億円以上」であり、そんな企業はとっくに昔からの特許事務所に持っていかれている。この時代にこれを掴むのは運である。
 

図2:これからの特許事務所の売り上げモデル

 筆者は、図2のような売り上げモデルを実行してきたし、これからの弁理士にはこのような売り上げモデルも一つの参考としてもらいたい。
 中小・ベンチャー企業が弁理士一人に払ってもよい金額は「100~200万」くらいであることは前回に説明した。これらの規模の企業を30~40社面倒見るビジネスモデルである。これにより、4000~5000万/年の売り上げを実現するビジネスモデルである。
 調査、分析、出願、コンサル、相談、講演、権利活用、人材育成、知財法務、契約などを、クライアント企業のそれぞれの中に包含している。筆者の場合には、
 コンサル+相談+知財法務+戦略指南+人材育成 = 30%/全売上
 代理業務 = 60~70%/全売上
 その他 = 5~10%/全売上
の、売り上げ構成で事務所経営をしてきている(13,4年に渡って)。売り上げも上記の目標を大体維持している。
 このビジネスモデルにはメリット・デメリットが次の通りである。
 〇メリット
  ・大型クライアントを探すさすらい時間がない
  ・経済環境の変化によっていくつかの業種やクライアントが沈んでも、売り上げ被害が少ない(リスク分散)
  ・異なるジャンルのクライアントで得た知見や経験を、他のクライアントに活かせるので、レベルの高い仕事を提供できる。
 〇デメリット
  ・とにかく手が掛かるし大変。異なる技術、キャラ、業種を同時並行するのはきつい
  ・効率はとても悪い。
  ・人を雇えない。特定分野の仕事で部下を育成することができない。

 万人向きではないが、弁理士の一つのビジネスモデルとして参考になれば幸いである。

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