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志村けんさんの誇りと生き様

2020年3月30日(月)

日本に衝撃が走った。

日本の宝である
ザ・ドリフターズの志村けんさんが
亡くなった。

世界を震撼させている
感染症によって。


入院したという報道があった時に、
同僚の一人が言った。

「難しいかもな」

全く同じことを思っていたけど、
口にはしなかった。

言霊の重みを知っているからだ。


前回ここで書いていた
人工心臓を体内に植え込んだばかりの少女が
志村けんさんが亡くなったその日は
朝から泣いていた。

朝からとても不思議な日だった。

「誰か亡くなるの?」と眉毛をハの字にして
泣きながらこちらを見ている。

その時はまだ
その訃報は世間に届いてはいなかった。

ただ、
医療の世界はネットワークで繋がっている。

もちろん個人情報は露わにしないけど、
情報共有の一つの中に、

「志村けんさんが亡くなった」

後に世間に知らされるであろうこの事実は
自分たちには届いていた。


あまりに泣きじゃくる少女に、
「大丈夫だよ」「心配しなくていいよ」と
声をかけながら、しばらくそばにいた。

「私にはわかるの。何か大きな、大切なものを失う気がして。」

・・・

心が苦しかった。


志村けんさんは、
人工呼吸器だけでなく、
「ECMO」という人工肺を装着していた。

それは、その少女のかつてと、同じだった。

ただ、志村けんさんは既往が多く、
ダメージを受けている臓器が多かったことで、
器質的なところで巨大感染症には勝ちきれなかったと考える。

今回の、この巨大感染症は
罹患したとしても治る。(人もいる)

でも、上に書いたように、
罹患したら絶対的に負けてしまうであろう人が罹患すると、簡単に亡くなってしまう。

その分岐点で盾とならなきゃいけないのが
自分たちの仕事だ。

それ以上悪化させず、
治す、治す、治す、治る。。


院内で
ECMOが最大数回っているのは初めてだし
言ってしまえば
人工呼吸器やECMOの数は足りていない。

患者は、今回の感染症罹患者だけじゃない。

でも、その場その場で、
みんなで話し合って治療方針を決定している。

他の患者も感染症に罹患することなく
勿論助けることが絶対条件だ。

院内感染を起こしている場合じゃない。


志村けんさん

痛かっただろうな。
苦しかっただろうな。
悔しかっただろうな。
切なかっただろうな。

本人が一番、
今とは思っていなかったと思います。

いかりやの長さん以上に、
もっと長生きすると思っていただろうし、
そうあってほしかったです。

あなたがこの世に残してくれた笑い、そして
最期まで病と闘ったあなたの誇りと生き様は、
勇気を与えてくれました。

自分の体はウイルスに汚染されているけど
それに罹患することなく

あなたの分まで生き続けます。

ゆっくり休んで下さい。



雲の向こう側は、いつも青空です。



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