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同人誌の特殊装丁まとめ(2024編)
こんばんは。特殊装丁だいすきオタクです。
2024年に発刊した4冊の同人誌に関して、詳細とコンセプトについて解説します。在庫があるものは通販のリンクも貼っていますので、「元ジャンルは分からないけどこの装丁の原本が見たい」という方もお気軽にどうぞ。
みんな装丁のまとめやってるのいいな~ってここ5年ぐらい思ってました!
やりました。よろしくお願いします🙏
※主に二次創作の同人誌を扱っています。
紹介する本のまとめ
ジッパー加工のレター本セット、メタルペーパー、盛り上げ箔加工
A5正方形、ファンタス色面にスミ、本文フルカラー
ハードカバーブックケース
コデックス装
Assort + Toy Box
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発行:2024.5.4
サイズ:A5
ページ数:56P
印刷会社:プリントオン様
使用セット:レター本セット
表紙用紙:メタルペーパー165kgシルバー
表紙インク:フルカラー(CMYK)+白印刷
表紙PP:マットPP
本文用紙:コミック紙ホワイト
ほか:表紙に盛り上げ箔加工 金
通販:https://pasukaru.booth.pm/items/5700680
制作コンセプトとやりたい加工
お菓子の缶詰であり、秘め事を隠した箱である
ジッパー本、盛り上げ箔加工
「箔押し」は特殊装丁が大好きなオタクの永遠のあこがれであると同時に、高嶺の花でもあります。主な理由は金型を作ることによる面積の制限と価格の高さなど。
これを打破できる手段として「金属型を作らずに箔押しのような効果を得る方法」がいくつかあり、今回は盛り上げ箔をチョイスしました。
プリントオン様の盛り上げ箔はニスを塗って上から箔を貼り付ける加工です。ニスは金型を作る必要がないので、広い面積でも加工のための料金は据え置きとなります。こだわりのおもむくまま加工を凝ると採算が取れなくなりやすいオンデマ同人屋に優しく、ありがたいです。
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メタルペーパーに白押さえも疑似的な箔加工に使えるので、この本は二重に光っていることになります。光り方が違うので視覚の情報量も増えますね。 光る本って健康にいいから……。
表紙にはジッパー加工を施しています。
表4部分を長く切り取り、表1と貼り合わせた上からミシン目を入れている……と思われますが、詳しい工程は何とも断言できません。
一度しかめくれない体験を通じ、お菓子を開封するワクワク感や、秘密を明らかにする背徳感を感じていただけるのではないかという考えでした。盛り上げ箔でジッパーの上にも箔を載せられたことがイチオシポイントです。
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酔狂
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発行:2024.5.4
サイズ:A5正方形
ページ数:46P
表紙印刷会社:オレンジ工房様
表紙用紙:ファンタス 200kg アカ(表面:色面部分に印刷)
表紙インク:スミ
表紙PP:クリアPP
本文印刷会社:ちょ古っ都製本工房様
本文用紙:書籍用紙 72.5kg(淡クリームキンマリ)
本文インク:フルカラー
制作コンセプトとやりたい加工
お酒から始まる話なので、グラスのコースターをイメージした正方形の本
赤にこだわりがあるキャラクターがいるのでキーカラーを前面に押し出す
薄くてもいいから本を出す
表紙と製本を別の印刷会社に頼んでいます。
別刷り製本は、上手いことやると印刷代も安くなるし〆切も遅くなるという不思議な手段です。イラストや漫画は(特にオンデマだと)品質にムラがあることも少なくないので一概にはオススメできませんが、加工に凝りつつ印刷コストを抑えたい字書きであれば検討の余地があると考えています(後述の3冊目も別刷りの同人誌です)。
表紙は「表紙のみ印刷かつファンタスの色面にスミで刷りたい」という要望から始め、最終的にオレンジ工房様にたどり着きました。そもそもファンタスの色面に刷れる印刷所が少ない!
オレンジ工房様はずいぶん前にも利用しましたが、手軽な発注かつ丁寧な作業、しかもほかであんまり見ないようなニッチな仕様も試せるので、ひそかにイチオシの印刷会社さんです。
本文はもともとカラーにするつもりはありませんでした。
しかし発行日が大型のイベントだったため、通常のモノクロ印刷の枠が満了に。赤字を了解してフルカラー印刷に突っ込んだ次第です。結果的に渋さとカッコよさの両立、またキーカラーの一貫が達成できたのでオールオッケです✌️
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余談として、A5の正方形本について。要はちょっと横長の文庫本級サイズなので小説本で採用しやすい判型です。
GODARCA SESSION LOG BOOK
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発行:2024.9.29
サイズ:A5
ページ数:218P(内カラーページ数:14P)
ブックケース印刷会社:プリントオン様
ブックケース用紙:コート紙+色上質紙 黒(受け底)
ブックケースインク:フルカラーRGB
ブックケースPP:マットPP
使用セット:ハードカバータイプ[ブックケース]
表紙印刷会社:プリントオン様
表紙用紙:ホログラムペーパー195kgレインボー
表紙インク:フルカラー(CMYK)+白印刷
表紙PP:マットPP
本文印刷会社:ちょ古っ都製本工房様
本文用紙:上質 90kg
本文インク:スミ+一部フルカラー
制作コンセプトとやりたい加工
長期保管できる形態
魔道書のような重厚さ
表紙、製本、そしてブックケースをそれぞれ別注した本です(ブックケースと表紙はどちらもプリントオン様ですが、セットにできない形式なので個別で注文しています)。
クトゥルフ神話TRPGの長期セッションを身内用にまとめた本で、私は装丁と本文DTP部分の担当です。テキストの成型や文中のイラストなどは有能つよつよ編集チームがこなしてくれました……!
ハードカバータイプのブックケース、もう見るからに存在感があります。開きそのものに厚みがあるのに手触りは軽いという、大変素敵なケースでした。
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ケースはモダンな魔道書をイメージしていろいろなあしらいを足したので、本体は逆に白を基調としたシンプルなつくりとしました。ほんのり光る紙にマットPPを貼ると光り方が柔らかくなることは知っていましたが、ホログラムペーパーは初挑戦。虹色でありつつパールにも似た上品さが出たので、やってみてよかったです。1冊目で使用したメタルペーパーとの光り方の違いにもご注目ください。
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本体印刷のちょ古っ都製本様はカラーページを1か所に固めるとフルカラーよりも安価に印刷できます。見積もりもらってあまりに安すぎて思わず二度見しました。
虎狼、縁は幾久しく
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発行:2024.10.27
サイズ:A5
ページ数:168P(内カラーページ数:8P)
印刷会社:イニュニック様
表紙用紙:コート 135kg+チップボール28号(芯ボール)
表紙インク:カラー4C+金(赤金)
表紙PP:マットPP
本文用紙:HS画王
本文インク:スミ+一部フルカラー
ほか:コデックス装
通販:https://ecs.toranoana.jp/joshi/ec/item/040031195769
制作コンセプトとやりたい加工
赤い糸、鎧の合わせなど「糸」のイメージからコデックス装
個人的にいままで挑戦していなかった和のテイスト
主催込み19名が参加した全年齢アンソロジーです。
普段オンデマンドでないと刷れない少部数で活動しているので、アンソロになるとここぞとばかりにやりたい加工を詰め込んでおおはしゃぎすることになります。今回は長年温めていたコデックス装を敢行しました。
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2024年10月時点、イニュニック様は都内の事務所で予約制の相談会を開催されていたので、現地におもむいて仕様についていろいろと相談しました。印刷会社がもし足を運べない場所にあった場合も、分からないことはすぐに電話して聞くのが一番早くて正確だと考えています(スーパーリーズナブルなオンデマ印刷所だとお値段の面でサービスを提供されている分、なかなか電話応対が難しいところもあるのですが……!)。
また、本アンソロで初めて本紙校正を利用しました。お値段はそこそこかさみましたが細かい修正点や改善点が見つかったので、結果的にはやってよかったです。
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まとめ
最初の2冊と後半の2冊はそれぞれの発刊時期が近かったこともあり、修羅場のころは殺人的に大変だった記憶があります。
来年はもう少し計画性を意識したいですね……!
今後は来年や今まで出した本についても少しずつまとめられればと思います。
ここまでありがとうございました!