広告界の騒然!フランスのアルコール広告規制が示す新たな時代
今日は少し気になっていたフランスのアルコール類広告規制について先日まとめたので、それについてすこし数回に分けてお話します。
有名人が酒の宣伝をすること自体がリスクに
先日、私の好きなアラフィフの星、ジェニファー・ロペスことJLO(ジェーロー)がインスタを更新したと話題になってました。
内容は彼女がイタリアのカクテルドリンクのコマーシャルのために70年代風のルックで登場したとのこと
日本のマダムフィガロは
と、JLOの素敵なインスタを中心に、大部分歓迎気味の声を紹介
一方元記事の本国フランスのマダムフィガロは、、、(写真からして違う)
と論調がガラリと変わるのがおわかりでしょうか。タイトルからして真逆。これ同じ記者の同じ記事ですよ。(フランスの記事をかなり意訳翻訳している日本のライターさん)
どうしてこんなに違うのでしょうか?
理由は色々あります。まず、
アルコールが欧州特にフランスでは「特別なもの」「大人なもの」という決してカジュアルでは済まされない雰囲気に流れてつつあるからです。
つまり、アルコールを飲んでいる姿などを公表すべきではないというすでに隠れた社会コードが存在しているのです。
(今のところこのコードに気づいて行動している日本のメーカーはサントリーだけだと思っています)
業界泣かせの広告規制法=エヴァン法
もっと続けましょう。少し前ですが、フランスのサッカー選手ポクバがヨーロッパリーグの勝利インタビュー時に、自分の目の前にあったハイネケン(しかもノンアル)のビール瓶を隠したという事件を覚えてらっしゃいますでしょうか?
自分の会見前に、ハイネケンと一緒に画像に映ることを拒否したのです。何故隠したのか?もちろん彼がムスリムであることもあるのですが、それ以上に、スポーツとお酒はカテゴリーが違うという意思表示ですね。あのロナウドが記者会見の席で、コカ・コーラのボトルを隠し「水を飲め」といったのも同じ大会の同じ会場でした。アルコールや砂糖炭酸水の広告には欧米セレブがセンシティブになっていることが伺えます。
たまたまこれはフランスではなかったのですが、フランスではスポーツイベントにアルコール会社が協賛することは禁じられています。2022年東京オリンピックのアサヒビールは堂々と場内販売まで試みていたのに直前に禁止になったことも記憶に新しいですが、この彼の隠すという行動がフランスでは賛否両論「エヴァン法の子どもだ!」と評されたのです。
エヴァン法とはなんでしょうか?
それこそ、フランスで酒造広告業界から恐れられているアルコール広告規制法なのです。
エヴァン法とは1991年に制定されたアルコール及びたばこ広告規制法で、この法律は1976年に制定されたシモーヌベールの人工中絶容認法並のインパクトがあるといわれています。
喫煙とアルコール依存症に対する法律で、1991年以降はタバコやアルコールの直接広告は禁止となりました。もちろんそれ以前も規制はあったのですがアルコール度数によって広告の分類がなされておりました。
制定の背景は?やはりアルコールによる健康被害が統計によりますと20歳から40歳までの死亡原因の25%はお酒によるものとも言われているからです。そして、その法律を決めた議員がエヴァン議員なのでエヴァン法と言われるようになったのです。
矛盾の国フランス
つまり、フランスはワインやスピリッツ類の生産国もあり、輸出により多くの外貨を稼いでいますが実は国内ではエヴァン法が1991年から施行され青少年の飲酒についてはかなりセンシティブな政策が取られているなんとも矛盾の国なのです。
ですから、JLOのカクテルの宣伝にもマダムフィガロの記者はかなり辛辣なことを書きますし、ポクバのハイネケン瓶を隠す事にも「スポンサーに失礼」という論調にはならないのです。
JLOのカクテルの場合はJLOはアメリカ人でインスタは全世界向きですからフランスのエヴァン法には引っかからないと思います。JLOだって法務家をたくさん雇ってるだろうし、問題はないでしょう。ただ、全世界的なNOLO化の時代、また、世界のグルメやお酒の国でのエヴァン法が施行されているということで、フランスではお酒というものはセンシティブにならざるを得ないのです。
ではこの広告規制には規定があるのか?では次回につづきます。
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