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自分の身体のことは、自分が1番知らなかったりする 1
ウェブライター以外に稼ぐ手段のなかった頃。たまに見つけるサイト構築の仕事は効率よく稼げた。その頃は「書く」しか残った武器はなく。しかし、たいした武器ではなかった。
400字の記事をSEOに合わせて10〜20記事。知らない内容でも調べて書くのは苦ではなかった。流行りのキーワードを知るのは楽しかったし、その知識を得ることは悪くない。
でも、すぐに弊害には気づいた。
1日に書ける文章量……だ。
私が1日に書ける文章量は最大値1万字くらい。コンスタントに毎日創作、なら、1日5000字ってところ。
とはいえ創作とは違うから、記事書きなんていくらでも可能だと思ってた。けど、違った。
創作であろうが、記事書きであろうが、1日に書ける文章量は一定だった。要は、記事書きの仕事をしたら創作はできない。私の場合は、ね。
ただ、メモとして書いてる文章は、その中にははいらないようだった。
そういうメモ的、頭の中のモノローグを拾うメモなら、文字数制限とは関係ないらしい。
あの時期、請負仕事なんかではなく、ウェブライターとして記事を書き自分で構築したサイトでアフィリエイトすれば良かったのかもしれない。
ノウハウは知ってた上で、依頼を受けてこなしてた仕事は、その分野でのコツみたいなものを全部暴露しているようなものだったから。
どういうサイト構築が求められているか。そういうサイトを依頼のままに作っていたのだから、そのまま作れば良かった?
記事書きでSEOに有利な書き方も、こういう記事を書いて、という依頼のなかで知った、というか身についてた。
当時、ドメインも複数所持していたし、自分のサイトも作ったりしてた。
でも、やらなかった。
あの手段によるアフィリエイトの道を極めていくことには、何の魅力も感じなかった。
もう少し気力があれば、やってたかもしれない。
でも、当時。自覚のないままに体調が悪かった。後にして思えば、だけど。
結果としては、できるけど、できなくなっていった。
息苦しく、ときどき上手く呼吸ができず。でも、慌ただしい日々で駆け回っていた。何もかも、何をしても、上手く行かず。気力を振り絞ってもどうにもならない日々だった。
そんな頃。半ば強制的に健康診断を受けなくてはならなくて。しぶしぶ指定の病院へといった。
その日は、特に具合が良くなくて。待合のソファーに座って居られなくなって横たわっていた。
血液検査の結果がでた段階で私は車椅子に乗せられ、そのまま半ば強制的に入院。
極度の貧血。通常の1/3しか血液がない状態だと、医師に告げられた。
は? と、私は首を傾げたが。
医師は、いつ死んでいてもおかしくなかった、と、更に言葉を続けた。
要は、かなり酷い子宮筋腫。
確かに経血量は半端なく多かった。毎回激痛で動けなかった。
だけど、ことはもっと重大で。じわじわと貧血が進み、死が寸前に迫っていた。らしい。
え? だって、昨日も、走りまわってましたよ?
私の言葉に医者はため息をついて首を横にふった。
実際、私は日々、小走りで所用をこなしていた。元気いっぱいではなかったけど。
女性は意外に貧血に強いとか。じわじわと進む貧血の場合、通常ならとっくに死んでる血液量になっても自覚症状がないこともあるらしい。
ときどき息苦しくなっていたのが、極度の貧血のせいだったとようやくわかった。貧血のせいで息苦しいなんて、考えたこともなかった。
緊急での点滴も役には立たず。入院して数日で数値は更に悪くなった。医師は緊急輸血する、と。子宮筋腫の手術時に輸血する予定だったらしい。だが、先に輸血しないと危険、という状態になっていた。
(続く)
AIイラストはPixAI-Rosebudで生成。