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100球以上投球すると内側副靭帯が緩む

▼ 文献情報 と 抄録和訳

反復投球後の内側副靭帯弛緩:高校野球投手の関連因子

H Hattori, K Akasaka, T Otsudo, et al.: Ulnar Collateral Ligament Laxity After Repetitive Pitching: Associated Factors in High School Baseball Pitchers. Am J Sports Med. 2021;49(6):1626-1633.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 野球のピッチャーには肘関節内側の損傷が多く、わずか60回の連続投球で肘関節の外反不安定性が認められる。しかし、反復投球が肘関節内側の安定装置に及ぼす組織特異的な影響はほとんど知られていない。

[目的・仮説] 本研究では、反復投球時の内側副靭帯(UCL)と屈曲回内筋群(FPM)の変化と、同定された変化に関連する要因を調べることを目的とした。我々は、反復投球が肘内側の安定筋の弾性を高め、その結果、laxityが誘発されるという仮説を立てた。

[方法] 高校野球の投手30名が参加した(平均±SD年齢、16.6±0.5歳)。各参加者は100回(20球×5ブロック)の投球を行った。UCLとFPMの弾性を示すひずみ比を、投球前と20球ブロックごとに超音波で測定した。各投球ブロックのデータは、分散分析を用いて比較した。重回帰分析を用いて、ひずみ率の変化率に関連する要因を検討した。

[結果] 100球後のUCLのひずみ比は、投球前に比べて有意に小さかったが(投球前、4.83±1.70;100球後、3.59±1.35;P=0.013)、FPMではそのようなことはなかった(投球前、0.57±0.24;100球後、0.43±0.18;P=0.07)。投球前のUCLとFPMのひずみ比(UCL/FPM)(β=-0.385;P=0.031)と投球前の肘関節屈曲可動域(β=-0.352;P=0.046)は、UCLの変化率と有意にかつ独立して相関していた。

[結論] 弾性率は100球後、laxityを示すUCLでは有意に増加したが、FPMでは増加しなかった。さらに、弾性率の比率(UCL/FPMs)と投球前の肘関節屈曲可動域は、UCL弾性率の変化率と有意に関連していた。

[臨床意義] UCLのlaxityを抑えるために、投手は1試合100球未満に制限すべきである。安静時のUCL弾性に対する相対FPMをより低く維持し、過度な肘関節屈曲可動域を避けるために大きな筋量を維持することで、反復投球時に発症するUCLのlaxityを防ぐことができる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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ポイント
高校野球の投手は、100球以降UCLに緩みが生じてしまう可能性がある
面白いと感じた理由
単に安静時、障害時のUCLのlaxityではなく、反復投球時の屈曲回内筋群との相対的な変化に着目した点

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私も中学3年生と高校2年生の末にUCLを損傷したことがある。その時はひたすら前腕の屈筋を鍛えて、ストレッチしていたような気がする。以下の論文ではUCLの損傷とFPMの付着部障害が高確率で発生していることを示している。

肘内側部痛の鑑別診断―屈曲回内筋付着部障害に着目して―

投球フォームによる力学的な負担はもちろん、屈曲回内筋群を含めた炎症の管理、筋柔軟性と筋量の改善をしっかりと行っていくことだ大事だろう。

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