臨床思考②Why型思考とアナロジー思考
臨床思考①では、クリティカルシンキングについて簡単に解説しましたが、今回は「Why型思考」と「アナロジー思考」の臨床応用について解説していきます。
Why型思考
Why型思考は、なんとなく聞いたこともある言葉だと思います。要するに、ある物事に対して、「なぜ」という疑問を持ち続けることです。当たり前にも感じる思考方法ですが、これが続けるのが難しい。かのアインシュタインも、以下の名言を残しています。
大切なのは、疑問を持ち続けることだ。
神聖な好奇心を失ってはならない。
臨床思考①の続きで、トレンデレンブルグ徴候に関してWhy型思考を用いると、、、
なぜ、この患者さんはトレンデレンブルグ徴候を認めるのだろう
そもそもなぜ、トレンデレンブルグ徴候が生じるのだろう
なぜ、中殿筋の低下によってトレンデレンブルグ徴候が生じているといわれているのだろう
こんな感じで、いくらでも掘り下げていけそうです。もしかすると、クリティカルシンキングより取っ掛かりやすいかもしれませんね。ただ、大切なのは、これを習慣化させること。「聞いたことある、知っている」と、「知っていて、実際に行っている」とでは雲泥の差があります。少し話が逸れますが、私の場合、「(If)退屈を感じたら、(Then)why型思考を実践し、⾏動に移す」を習慣化しています。これはIf thanルールといって、習慣化できる確率が2〜3倍にも跳ね上がるテクニックです。臨床応用していくなら、、、
(If)患者さんの問題点が見つけなれなかったら、(Then)why型思考を実践する
(If)その患者さんに適切な介入方法が分からなかったら、(Then)why型思考を実践する
などなど、、、。自分の中で習慣化しやすいIf thanルールを決めておけると良いでしょう。もちろん、クリティカルシンキングや、このあと紹介するアナロジー思考においても同様です。
アナロジー思考
アナロジー思考とは、『類似のものから推論する』ことです。では、どのように推論していけばいいのか。まず、推論の⽅法としては、⼀⾒、解決したい物事とは関係のなさそうな物事や事象を抽象化(関係性の類似を⾒つける)し、その成功要因を考えることで、新しいアイデアを⽣み出す⽅法です。はい、よく分かりませんよね。例を出して説明します。
例︓バイキングビジネスと、リハビリテーションビジネスの共通点は︖
解説︓抽象化する際に⼤事なことは、2つに共通して他にないものを⾒つけることです。ここでの共通点は、「⼀定⾦額を⽀払い、制限時間内で顧客が好きなもの選べる」ことかと私は思います。バイキングは、ご存知の通り、⼀定のお⾦を払えば並べられた⾷べ物を好きなだけ⾷べられます。ただし、必ず制限時間があります。リハビリテーションにおいても、独⽴していれば担当セラピストを選ぶことができますし、もちろん、患者さんが病院を選ぶこともできます。ただ、当然リハビリにも制限時間はあります。いわば、リハビリテーションも広い視点で捉えれば、「バイキングモデル」に近いといえるかもしれません。では、「なぜ」バイキングモデルが成功したかを考えると、「⾮常に多くの⾷べ物が並んでおり、⾃由に選べる。しかも、制限時間内であれば⾊々試せる」ことが顧客のニーズにマッチしたと考えられす。この考えをリハビリテーションにも応⽤できないか。。。︖
と考えていけば、新しいアイデアが思い付きそうですね。正直これはクリティカルシンキング、Why型思考と比べて難しいと思います。いきなり、「アナロジー思考するぞー!」と意気込まず、まずは日常生活の中で何気なく観察したことに対して、「これとリハビリの共通点はないかな、、、」と考える習慣を、遊び感覚でも身に付けておけるといいのかなと思います。
医療の世界に限らず様々な情報が溢れている中で、この時代を生き抜くためには情報を鵜呑みにしたり流されたりするのではなく、「自分の頭で考える」ことがめちゃくちゃ大事だと感じています。ここまで解説した方法を活用して、自分の思考力を高めて頂ければ幸いです!