高齢者に対する運動イメージの効果は?
▼ 文献情報 と 抄録和訳
高齢者のバランスと歩行に対する運動イメージトレーニングの効果。無作為化制御パイロット研究
Dong SO et al. : Effects of Motor Imagery Training on Balance and Gait in Older Adults: A Randomized Controlled Pilot Study, Int J Environ Res Public Health. 2021;18(2):650.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[目的] 運動イメージトレーニングが高齢者のバランス能力と歩行能力に及ぼす影響を実証し、転倒予防のための効果的な介入方法として適用できるかどうかを検討することである。
[方法] 転倒を経験したことのある65歳以上の被験者(n=34)を3つのグループに無作為に割り付けた。1)運動イメージトレーニング群(MITG、n=11)、(2)タスクオリエンテッドトレーニング群(TOTG、n=11)、(3)コントロール群(CG、n=12)の3群に無作為に割り付けた。各群とも週3回の運動を6週間行いました。従属変数は、COP(Center of Pressure)に基づく静的バランスのPath Length、Berg Balance Scale(BBS)スコア、静的・動的バランスの変化に基づいて人の移動能力を評価するTimed Up and Go Test(TUG)スコア、転倒に対する恐怖心の変化を評価するFalls Efficacy Scale(FES)スコア、そして歩行を評価するための歩行パラメータ(速度、ケイデンス、ステップ長、ストライド長、H-H base support)であった。介入後、Path Length、BBS、TUG、velocity、cadence、step length、stride lengthは、CGと比較してMITGとTOTGで有意な増加を示した(p < 0.05)。Post hocテストの結果、BBS、TUG、FESは、MITGではTOTGやCGに比べて有意に増加した(p < 0.05)。
[結論] 高齢者の転倒予防のために、運動イメージトレーニングと機能訓練を組み合わせることで、バランス、歩行、転倒の有効性にプラスの効果があることが示唆された。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
高齢者に運動イメージを臨床応用していくのは難しいだろうと感じている方は少なくないと思う。だが、この論文の方法(詳細は是非確認してみて下さい!)は比較的実践しやすく、且つ効果が示されているところは興味深い。