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「献血できるほど健康」であることが自己肯定感に繋がっていた頃

現時点の献血回数は37回。2021年7月が最後。
大学生の頃は、足繁く成分献血に通い、献血ルームの職員さんと仲良くなり、呼びかけのボランティアもしていた。新卒で就活する時の履歴書に書いたのは「趣味:献血・散歩」。

でもそれは昔の話。私は今、残念ながら献血できる条件に合致しない。献血はとても厳しい条件をクリアした健康な人しかできないからだ。


献血デビューのきっかけ

それは高校1年生の時。通っていた高校に献血バスが来るというお知らせがあった。当時、世間話で血液型占いの話をするときに私は「ちゃんとは分からないけど、たぶんAB」と話していた。だから献血すれば血液型が分かる、という動機で献血デビューをすることにした。

高1(16歳)は200ml献血しかできない。クラスの仲の良い女子たちで献血バスに向かったけれど、ほとんどの子はヘモグロビンの値が低いからと事前検査で弾かれてしまっていた。
一方の私は、実家で栄養満点の食事を食べ、行き帰りのバスでじっくり睡眠を取っており、特に病気もなかったこともあってヘモグロビン値も含め事前検査を問題なく通過した。(ちなみにAB型が確定した)

初めての献血で褒められた

本番の採血は、針の太さにびっくりしたことをよく覚えている。もともと注射は苦手ではなかったけれど、健康診断の採血や予防接種の注射で使う針とは全然違っていて衝撃的だった。
でも、看護師さんが上手だったのもあって意外と大丈夫だった。

そこから看護師さんにべた褒めされた。
献血に来ようと思ってくれてありがとう。
血管が太くて見えやすくて刺しやすい。
条件に合わない子も多い中、献血できるってことは健康ですごいこと。
太い注射針なのに頑張った。 など。

普通に生きていただけなのに、なんかすごく褒められた。
私でも誰かの役に立てるんだ…
これがとっても嬉しかったし自信になった。
以降、高校2・3年生の時にも200ml献血をした。

成分献血にハマった

冒頭にも書いた通り、大学生になってからは献血ルームに通うようになった。18歳になると成分献血ができるようになる。
成分献血は、一度全血を抜いた後、機械にかけて必要な成分(血漿や血小板)だけを取ったら赤血球などは戻される。その分、身体への負担が軽いというものである。

この成分献血が面白かった。採血の間はベッドに横になり、手足の指をグーパーしたり、脚をクロスしたりしながらTVをみて時間をつぶすのだけど、私はよく自分の血液がパックに溜まって、機械にかけられて透明な液体だけになっているところをチラ見するのが好きだった。(あんまり動くと危ないので横目で見るだけである。)

あぁ、私にも赤い血が流れているんだな…生きてる…と妙に感心したり安心したりしていた。血が腕に刺した針から管を通って出てきて、それがグルグルされて、最終的に私の身体に戻る。これをだいたい3サイクル。

大学生の頃はほとんど事前検査で引っかからなかった。そして、身体への負担が軽いから、全血献血よりも短い間隔で次の献血ができるのでよく通った。
たとえそれが自分の為だったとしても、行けば褒められる。実際に誰かの為になれている。
「献血ができるほど健康」という状態に自己肯定感が上がっていた。

社会人になって

働き始めた部署は24時間365日体制だったので、夜勤ありのシフト制だった。そして就職のタイミングで一人暮らしを始めた。
そうすると、生活リズムは乱れ、睡眠時間は不規則になり、料理はまともにせずに食生活は荒れた。ずっとストレスもかかっていた。

少しだけ仕事に慣れた頃に献血に行ったら、事前検査でヘモグロビンの値が低くて断られてしまった。これまでは普通に生活していればクリアできていた基準だったのに。(実家はありがたい)「食生活を見直しましょう」というパンフレットをもらってトボトボ帰った。

再挑戦したけれど

しばらくして、コンディションを整えてもう一度献血ルームに向かった。今度こそは大丈夫!と思っていたのにまた基準に満たなかった。2回連続で献血できず、「私は献血できる!人の役に立てる!」という自己肯定感が崩れてしまった。
3回目があったら「もういらない」と言われているようで本当に立ち直れなくなってしまいそうで、そこから5年ほど期間があいた。
(考えすぎだけれど、それくらいの恐ろしさはあった)
その間に、日勤だけの仕事になって生活リズムが整った時期もあったけれど、恋愛や推し活で忙しくしていて結局睡眠時間が短かったのと食生活はボロボロだったので、怖くて行かなかった。

自分のペースで再開しようと思った

また夜勤ありの生活に戻っていた2020年。コロナ禍で献血者の数が少なくなっているという話も聞いていて、何となくもう一回やってみようかなと思った。久々に行く献血ルーム。検査に通り、無事に献血を終えた。
私は献血できる。学生時代ほどに頻回でないとしても定期的に通おうと思い、そこから2021年7月までに4回実施した。

今の私は(実質的に)献血ができない

ところが、2021年11月から現在に至るまで、メンタルクリニックに通って薬を飲むようになった。
献血基準には、服薬についても色々と基準があって、当日飲んでいても大丈夫な薬もあれば、何日か空けないといけない薬もある。私が飲んでいる抗うつ薬は後者。「最終服用日を含む3日間は献血できない薬」に入る。

献血は選ばれし健康な人にしかできない。
私は現段階で、そのまま献血できるほど健康な人じゃないし、仮に薬を抜いて血だけ健康な人っぽくしようとしても、メンタル+身体の反応が追い付かない。(し、そこまでしてやろうという気はない)

いつか、健康になって、また献血できるようになれたらいいな。
徐々に減薬していたけれど、量を戻したのでその日は遠い。かもしれない。

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