いまさら真面目に読む『美味しんぼ』各話感想 第20話「土鍋の力」
「初期の『美味しんぼ』からしか得られない栄養素がある…そんなSNSの噂を検証するべく、特派員(私)はジャングルへ向かった…
個人的にはこの回あたりから『美味しんぼ』にあやしい匂いが立ち始めたな…と感じる回
■ あらすじ
「究極のメニュー」に興味を持った成金社長のご接待に駆り出される文化部谷村部長&山岡・栗田コンビ。食事はふぐの名店で。成金社長は古九谷の大皿や純金の鍋を披露し悦に入るも、実はそれらに満足しておらず懊悩しており、接待の場を借りて「純金鍋で作るフグチリが(中略)もう一つ味が足らんように思えてならなくなったんです」という悩みを解決してくれるよう大原社主ら東西新聞社一行に頼み込む。
成金社長は「究極のメニュー」づくりのバックにはブレーンとして「お偉い先生」がたくさんいるはずだと思い込み、その助力をもらえないかと言うのである。1回目の接待で味の秘奥を教授しろとは、なんてスケベな成金だ。
しかし、そんなお偉い先生方は、第2話の時点でアンキモパワーでクビになっている。大原社主はそんな成金社長の懸念は気のせいで、純金鍋のフグチリ以上のものがあるはずもない、と取りなすが、山岡・ザ・喧嘩番長は「気のせいではありませんよ。純金の鍋なんぞを作って喜んでいるただの成金から成長した証です」と褒めてるんだか腐しているんだかわからない山岡バズーカをぶっ放す。成金社長もこの言い様には腹を立て突っかかるが、そこに美味しんぼ構文が炸裂する。
山岡はこう言って、席を立ち、その足ですっぽん料理屋へ向かう。
◆ 実際にあった純金鍋!!
見出しで切り捨てられた2,000円で我が家の土鍋が買えるのですが…
そしてしゃぶしゃぶ鍋ですってよ。しゃぶしゃぶにしか使えない…熱伝導性が高いという金の特性を発揮するには、頻繁に冷たいものを入れて泳がすしゃぶしゃぶが良い、合理的だというのはわかるけれど、もう少しこう…汎用性というか…
◆ かなり思想強めの回
「純金の鍋と料理人の間に心が通い合うでしょうか?」と問いかける山岡。
通い合うこともあるんじゃねえの?と思ってしまう。土鍋からダシが出てくるのはわかった、それで雑炊にして美味いというのもわかった、渋々認めよう。だが純金鍋も土鍋も、どっちも道具として特長をもっており、その特長を活かすということは出来るのではないだろうか。
先に挙げた純金鍋でのしゃぶしゃぶや、成金社長が最初に出したフグチリもコストを度外視すれば鍋の特長に向き合った結果生まれたものではないだろうか。
こういうところに作者の懐古主義的なところや、里山思想強めな側面が出ていると思う。そしてこの思想的なものは回を追うごとにその色を濃くしていくのである…
・ 今さら読む『美味しんぼ』
これまでの各話も感想をマガジンにアップしています。他の話もよろしければ是非!
・ 私の本業は…
・実は、本業は…
私の本業は観光促進、移動交通におけるバリアフリーを目的とする組織のイチ職員で、食い物のことに関しては偉そうに話せる立場にないんです。
≠鉄道オタク の視点で、日本の鉄道はこれからどうなっていくのか、特にローカル線って維持するのがいいの?すべきなの?っていうところを考えるためのマガジンも作っています、もしよろしければ是非以下を…
=============================================
ローカル線の存廃問題についての記事をまとめているマガジンです。
よろしければほかの記事もぜひ!
地方のローカル鉄道はどうなるのか、またはどうあってほしいか|パスタライオン ~鉄道と交通政策のまとめ~|note