#281 あなたの「見る」はどっち?
みる
教師にとって大切な姿勢が「みる」ことだと思います。大切というくらいですから、なかなかうまく「みる」ことは難しいです。
まず、「みる」という行為ですが、5つも漢字があるくらいですから、幅が広いです。
見る・・・視覚でもの、ことを捉える。
観る・・・注意深くみる。観察、観賞
視る・・・目的を持って調べるためにみる。調査
診る・・・体の状態を調べて判断する。診察、診断
看る・・・世話をする、面倒をみる。看病
大切な5つの「みる」ですが、次に、子どもの立場になって考えてみましょう。
教師は「みる」=子どもは「みられる」
この「みられる」が、おもしろい。
ある子は、先生に「見張られている」と言う。
ある子は、先生に「見守られている」と言う。
どちらが正しいのでしょうか?次のような授業場面を想像してみてください。
国語の時間。自分の考えを書くよう指示を出しました。子どもたちは書き始めます。先生は、全員が書けているか見ます。
さあ、あなたはどっちの「見る」をしていますか?
書いていない子はいないかな?ちゃんとやっているかな?・・・見張る
書き始めていない子はいないかな?困っている子はいないかな?・・・見守る
同時にどちらもやっているよ。という方も多いのではないでしょうか。
「見る」は心の構え
ここで大事なのは、「子どもがどう感じているか。」です。例え、先生が見守るつもりでも、見張られていると感じる子はいます。この行き違いによって教室ではしばしば次のような言葉が聞こえてきます。
「なんで言わないの。言ったら教えてあげたのに。」
いやいや、見張られている子が、見張っている先生に助けを求められますか?子どもが困り感を感じた場合、「見張られている」と、できない悪い僕を隠します。一方で、「見守られている」と、できないことを隠さず助けを求めます。
「見ている」ことを伝える
見守る、見張る、どちらも大事です。子どもにとってある場面では心理的安全性になりますし、ある場面では抑止力になります。
だから、教師の意図と子どもの受け止め方がズレてしまうのは、もったいないです。
先生は「あなたを見ているよ」というメッセージを伝えましょう。
「〇〇さん、玄関で困っている1年生にやさしく声をかけていたね。」
「教室を移動するとき、みんなが出たあと、そっと机をそろえていたね。」
「横断歩道を飛び出した人を見ました。とっても心配です。」
割合は、やっぱり、見守る方を多くしたいですね。
ただでさえ、人は自分の悪いところを隠して生きていますから、先生は見張る存在だと感じやすいです。
一方で、自分の良いところに気付かない子もたくさんいます。先生が、子どもたちの行為を見て、たくさん褒めることで、その行為に自信がもてます。
「見張る」と「見守る」、どちらが正しいという話ではないです。
心構えとして、子どもを見守れる教師になりたいものです。
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