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木桶サミットに参加してきました。
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香川県の小豆島にてヤマロク醤油が主催する「木桶サミット」に参加してきました。
話しは遡ること15年前。ヤマロク醤油さんが1社だけ残っている木桶メーカーに新桶の発注をしたところ、 「醤油蔵からの発注は戦後初」と言われたそうで、これに危機感を覚えた山本さんは桶つくりを復活させるべく同級生の大工さんと共に職人の元へ弟子入り。数を重ねて技術を向上させるためには、木桶文化の再考が不可欠と捉え、その技術や知識はオープンソース化し、たくさんの蔵と協力する形で次の世代へと繋ぐための取り組みをしています。
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年に1回開催される木桶サミットはその集大成ともいえるでしょう。3日間の会期中には、実際に職人の方たちが木桶を組み上げる様子を、時にお手伝いをしながら、間近で体感することができます。
また、木桶にまつわる、味噌、醤油、酒メーカーやその流通や販売に携わる人もたくさん集まり、交流することで、更なる木桶文化の発展を目指すための役割りも担っています。
ほかにも、実際にたくさんの醤油や味噌を食べ比べしたり、蔵元と直接話しができる機会などもあり、僕らも発酵食品に関する知識が非常に深まりましたし、なにより丁寧に作られたそれらの調味料の味わいは素晴らしく、ものつくりをする立場としても大きな刺激になりました。
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縄、竹を編んだタガ、そして杉板を組み合わせてつくる木桶。一見すると昔の技術です。当然漏れることもあるし、時間経過と共に朽ちるものもあります。ステンレスなどの鉄鋼業というのは、人間の技術の進歩の証でもあるので不思議な感覚ではあるのですが、木桶すごいです。
綺麗な円形を保つためには至極微妙な木材の調整が必要、そしてそれを人間の感覚のみで行います。またそれらをまとめあげるのも竹を編んだタガなわけです。こんな技術が失われなくて本当によかったと。感覚的には、現代では再現不可能な古代文明の発明品に出会ったような、そんな感じですね。
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自然素材でつくられた木桶をじっくりと見ていると、まるで生き物のように、そう命が宿ったような、そんな存在感があったのがとても印象的でした。
そして、手に職って大事ことだなとも思ったり。Mac Bookじゃ作れないものもたくさんあるというか、デジタル社会の虚構というか。
木桶をつくるには、良い竹や木が必要。つまり、林業が発展するし森を守ることは、里を守ることにもつながる。そして、木桶で醤油をつくるのは時間がかかるし、制限も多い。温度管理や酵母添加をした速醸などには向かない。逆にいうと天然醸造のものが多く出回る。本物はうまいから、過剰な消費競争にも巻き込まれない。
人間は、飢餓に苦しまないよう、楽してたくさん食べられるように努力をしてきた。余った時間を楽しむための娯楽もたくさん考えた。雨風が凌げる、安心した寝床も作れるようになった。死の恐怖は遠く彼方にあるのに、日々不安と不満にまみれて暮らしているのは何故だろう?この問題をAIは解決してくれるだろうか?過剰に膨れ上がった都市機能から、一度離れてみることが大切なのではないか。再び、自分達の手や足、考える頭、生き物に宿る可能性を大切にしても良いのではないかと。蔵にびっしりと住み着く、目に見えないはずの微生物からそんな声が聞こえた気がした。
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木桶を中心とした、人の営みの中には、僕たちが正しく暮らしていくために必要なことが全て詰まっていたように思う、そんな特別な3日間でした。