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Fhyme リリースです!
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【Fhyme】
Style:Amber Ale with Herb
ABV:5.0%
自家栽培のハーブを使ったアンバーエール。モルト由来の甘やかな香りもありながら、ドライハーブからなる柔らかい清涼感や花のニュアンスを感じられる優しい一杯となりました。
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今回リリースとなるFhymeはハーブシリーズ3作目であり、アシスタントブルワー小寺の1st Batchとなります。
畑を初めて早くも半年以上が経過し、様々な色をまといプリプリとしていた畑は一変、私たちよりも一足先に冬の準備を始めたようです。10月に入り冬を越せないハーブや自家消費で育てていた夏のお野菜たちに感謝とお別れを告げ、畝も再建しました。春にはすごく時間がかかりとても大変だった畝たても、なんだかもうお手のもの?ちょちょいと慣れた手つきで畝をたてながら何を育てようか、なんて会議までしちゃう様子。畑は植物だけでなく、私たちのことも成長させてくれていたみたいです。
春から夏までの様子をふまえ、秋からは、気持ち程度ですがハーブの畝を品種ごとに区画分けすることにしました。ハーブたちはみんな生育旺盛でワイワイと楽しそうに育ってくれていたのですが、交雑や育ち過ぎてしまうことはやはり避けたい。それに、使いきれない量のハーブを育てるよりも、少量を丁寧に、ハーブたちが過ごしやすい環境を作ってあげたいと、農家1年生ながらに思うのでした。
ハーブシリーズ3作目となるこのビールは、収穫し乾燥させたハーブを使うレシピにしてみました。使用したハーブはレモンミント、ハッカ、タイム、ローズマリー、セージ、ホーリーバジルの6種類。そのいずれもがドライハーブで、フレッシュのものに比べるとキリッとした清涼感や爽やかな緑の香りなんかは少々劣りますが、その分丸みのある香りや甘みは強くなり、また違った印象に。
仕上がりですが、モルト由来の甘やかな香りに加え、ドライハーブからなる清涼感とふくよかな甘い香りが口いっぱいに広がります。ホップからなるささやかな苦味が、甘やかな香りを引き立てつつも味を引き締めてくれるので、余韻は長すぎずスッキリとした印象も。ほのかに紅茶やワインのようなニュアンスを感じられるのでお食事はもちろんですが、焼き菓子などにも合わせてみてほしいです。時間による温度変化や炭酸の強弱、グラスの形状によって表情が驚くほど変わるので、気分やお好みに合わせて色々な飲み方をしていただけるとおもしろいかと思います。
夏よりもほんの少しだけ、大人になったハーブたちと、私たちの成長を感じてもらえたら、喜ばしい限りです。
おまけ
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Hello!
アシスタントブルワーの小寺、もとい963です。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、パシフィック通信963の回に登場するギャルと同一人物です。
今回のおまけは、初めてレシピを書いた葛藤の日々のお話をほんの少しお届けしたいと思います。
1st BatchであるFhymeは、リリース日から決まりました。12/3、実は自分の誕生日。「1st Batchいつでもいいからやってみな!」と言ってくれるボスにありがたいなと思いつつもまだ早いと拒み続けてきましたが、先輩ブルワーズから「やってみなきゃわからないから、とりあえずやりな!」とのお言葉をいただきレシピを書くことを決意。ちょうど自分の誕生日がリリースの曜日だったので、ええいやってしまえ!となったわけです。
はじめてのレシピ起こしには途方もない時間がかかりました。作りたいものはあるけど、正解がわからない。というか、そもそも正解などないのです。
モルトなに使おう?ホップは?イーストは?水どうしよう。え、発酵は何度でやろう?なにから決めたらいいんだろう。あ、名前どうやって決めるの?なんて、無限の“?”に頭を抱える日々。不安と緊張でずっと胃も頭も痛いし、あ〜逃げたい、なんて思っていましたが、仕込み前日にモルトを挽くと、もうやるしかないな、と腹を括ることができました。
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そこからは時間の流れがとても早くて、無事に仕込みを終え発酵が始まったことに安堵したかと思えば瞬く間に発酵が終わり、色々な香りをまといながらどんどん素敵なビールへと目まぐるしく成長していく我が子のケアを含めた日々の業務にドタバタ。毎日毎日テイスティングしては不安になりタンクに抱きつく日々を過ごし、今日に至ります。
肝心の仕上がりですが、たくさんの知見を共有してくれたボス、そして先輩ブルワーズのおかげでとってもいい感じ。自分のイメージと大きなズレもなく、むしろFhymeの方から正解を叩きつけてきたような、そんな出来かもしれません。詳しくは本文を読んでいただければ幸いです。
いちばんおもしろいのは、自分で書いたレシピなのに、パシフィックらしいビールになったこと。知らぬ間に、パシフィックらしさみたいなものが遺伝子に組み込まれていたような、そんな気分です。
やっと、スタートライン。レシピを書くってものすごいことのように感じていたけど、たった一歩の前進でしかないのだと気付かされました。大切なのは、この一歩一歩に毎回本気で挑み、積み重ねていくこと。小さいようで大きく、大きいようで小さな一歩ですが、これからは、ほんの少しだけ胸を張ってブルワーだと自己紹介できる気がします。今後も少しづつレシピを書いていくことになると思いますが、おいしくて、たのしいものを届けられるように精進してまいりますので、お付き合いいただければ幸いです。
最後になりましたが、アドバイスや知見、応援の声をくれた社長をはじめとした弊社のなかまたち、先輩ブルワーズ、可愛がってくれるお姉さまお兄さま方、いつも支えてくれる家族に、たくさんの感謝と愛でいっぱいです。これからもたくさんお世話していただきたいと思っておりますので、末長くよろしくお願いしますね。
そんな私の好きをいっぱい詰め込んだFhyme。お見かけしましたら、飲んでいただけると嬉しいです。
どこかのだれかの素敵な1日が、もっともっと素敵になるように、ほんの少しでもお力添えできますように。
P.S. 投稿内の植物画は今回使ったハーブたちです。ずっと描いてみたかっただけなのでそんなに深い意味はありませんが、少しでもハーブの姿形が伝わればいいな、と思い立って描きました。Fhymeを飲みながらでも、観察してみてくださいね。