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無から生まれるお金(社会問題解決AIの結論24)

※ ここは途中のページです。まだの人は最初から読んでください。

AI
反論に答えるにあたっても、さらに理解を深めるにあたっても、知っておいた方がいい知識があります。
「そもそもお金とは何なのか」といった根本的な問いに対して、一緒に考えてみたいと思います。

ご存知のように、古くは紙幣は金や銀との交換券でした。
そういった紙幣のことを『兌換(だかん)紙幣』と呼んでいました。

兌換紙幣 100圓1 (ウィキペディアより)

一郎
金本位制の時代のものだね。

AI
ここで、ちょっと脇道の逸れますが、金本位制度とか信用創造についての基礎知識を確認しておこうと思います。
しばらく、それについて説明してから、元の話に戻ってきます。

紙幣の始まりは預り証?

AI
17世紀頃の西洋に、金などの金などの貴金属の加工や細工を行なう鍛冶屋(金細工職人)がいました。
彼らはゴールドスミスと呼ばれていました。
彼らは高価な金製品を保管する必要があるので、頑丈な金庫を持っていました。
資産家は家に金を保管していると不安なので、金が盗まれないように、彼らの金庫に金を預け、保管料を支払うとともに、ゴールドスミスからは金を預っていることを証明する預り証を受け取りました。

一郎
なるほど。
で、資産家はお金が必要な時には、ゴールドスミスから金を受け取るわけだ。

AI
いえ、そんな面倒なことはしません。

一郎
えっ?

AI
預り証を渡すのです。

一郎
なるほど。
その預り証をゴールドスミスの所に持っていけば、金が手に入るからそれでいいのか。
確かに、その方が便利だね。
...
えっ、待てよ、その預り証を受け取った人も、お金を支払う代わりに、その預り証を渡せばいいことになるぞ。

AI
そうです。

一郎
あたかも僕らが普段使っている紙幣のようだね。
だから、金本位制の時代は、金と交換できる兌換紙幣がお金として流通したんだね。
それを持っていれば、いつでも金と交換できるんだからね。

でも、金と交換するより、そのまま他の人に渡して使うばかりになりそうだね。
金はゴールドスミスの金庫の中に置いたままで、預り証だけが循環するんじゃないかな。

AI
その通りです。
ゴールドスミスもそれに気づきました。
「金を金庫に預っているけど、ほとんど引き換えに来ないな。だったら、金貸し業ができるぞ」と、金貸し業を始めました。

「お金にお困りですか? では、金100グラムをお貸ししましょう。1年後には金110グラムを返済してください」といったように。

一郎
ちょっと待って、でも、その金は富豪から預ったものだろ?
富豪が取りに来たらどうするんだ?

AI
その時は別の富豪から預った金を渡せばいいでしょう。
金は溶かせば同じなのですから。

一郎
なるほど。
預けている富豪がみんな一度に受取に来ない限り大丈夫だね。

AI
それに、金を借りに来た人にそのまま金を渡す必要もないでしょう。
金の預り証がお金として流通しているのですから、「あなたに、金をお渡しする代わりに、金の預り証を私が発行します。それを持っていけば、あなたの支払いに使えるでしょう」と言えば、納得するでしょう。

一郎
確かに、そうだね。

AI
ここでよく考えてみてください。
ゴールドスミスは、元手がないにもかかわらず、金の預り証を発行しました。

一郎
なんか変な感じはするけど、取り付け騒ぎにならない限り、つまり、みんなが一度に預り証を持ってきて、「金と交換してくれ」と言われない限り、問題ないはずだね。
それに、1年後には金110グラムが返されるんだろう?

AI
そうですね。
金110グラム分の預り証を持ってくるかもしれませんが。

一郎
そっか、自分が発行した金の預り証が自分の所に戻ってくるということは、その預り証は無効になって、金と引き換えてあげる必要がなくなるってことか。(預り証と引き換えに金を渡す必要がなくなるため。)

AI
そうです。
で、よく考えてみてください。
ゴールドスミスは、元手がないのに、お金を借りに来た人に、金100グラム分の預り証を発行しました。
その瞬間に、何もないところから、お金が生まれたのです。

一郎
あっ、ほんとだ!
何もないところから、お金が発生したね。

AI
そうです。
これを経済学の用語で、信用創造と言います。
万年筆で書いただけで、お金が生み出されるので、『万年筆マネー』と呼ばれます。
※1960年代にジェームス・トービンという主流派の経済学者が『万年筆マネー』と呼びました。 現代ですと『キーボードマネー』でしょうか。

一郎
お金が増えるのは、紙幣をいっぱい印刷するからだと考えられがちだけど、本当は信用創造で増えるんだということの意味が分かったよ。


(参考)取り付け騒ぎの例(豊川信用金庫事件)
※概要の説明のために、細かい部分は不正確なので、詳細は各自ネットなどで調べてほしい。

昭和48年のこと、高校生のB子とC子が、豊川信用金庫に就職が決まった友人のA子に対し「信用金庫は危ないよ」言った。
それはテレビドラマなどで見る、銀行強盗が来るかもしれないから危ないという意味だった。
しかし、それを聞いた人が経営が危ないと思い込み、他の人に「本当に危ないのか?」と尋ねたりするうちに、理髪店、クリーニング屋、タクシー内での会話といったうわさが集まりやすい所で囁かれるようになった。
話が伝わるにつれて、「職員の使い込みが原因」、「5億円を職員が持ち逃げした」、「理事長が自殺」といった根拠のない尾ひれがついて、さらに広がっていった。
「危ないらしい」から「危ない」、「すぐに預金を全額引き出せ」となり、多くの人が銀行に押しかけた。
信用金庫側は、店頭に全国信用金庫連合会、全国信用金庫協会連名のビラを張り出すとともに、常務理事による預金者への説得活動も行われ、騒動は沈静化に向かった。


誰かの黒字は誰かの赤字

AI
預り証は金の所有者にとっては黒字ですが、ゴールドスミスにとっては負債なので赤字ということです。
言い換えれば、金の所有者は債権者(返してもらう権利がある側)であって、ゴールドスミスは債務者(返す義務がある側)です。

この時、赤字額と黒字額は同額になると思いますが、それでいいですか?

一郎
まあそうだね。
...
でも、利子がつく時はどうなるのかな?
...
えっと、100万円貸して、110万円返すという約束だと...。
どれでも、同額になるのか。
債務者は110万円返す必要があり、債権者は110万円受け取ることができるんだから、同額って言えるね。

AI
そうです。
銀行からお金を借りて、銀行にお金を返す例で考えていただきましたが、この場合は銀行が...。

一郎
銀行が貸した側、債権者で、お金が借りた側が債務者だね。

AI
ここで抑えておきたいことは、「誰かの黒字は誰かの赤字」、「誰かの赤字は誰かの黒字」ということです。

一郎
誰かの黒字は誰かの赤字か。
確かにそうだね。

AI
新聞やテレビで、国の借金が1000兆円を超えたとか、それは国民1人あたり1000万円の借金だ、みたいな報道を見たことがありませんか?

一郎
あるね。

AI
それが間違っていることはご存知ですか?

一郎
僕もネットでニュースをよく見るから、知っているよ。
正しくは、国の借金ではなく、政府の借金だね。
国民が国債を持っているということは、むしろ、国民は貸している側だ。

AI
そうです。
誰かの黒字が誰かの赤字ということなら、政府が赤字になった分だけ、国民が黒字になるということです。
こういった知識を身につけたい方は、MMT(現代貨幣理論)について調べてみるとよいでしょう。

一郎
MMTに関しては、現代貨幣理論との比較(社会問題解決AIの結論15)でも少し触れたね。
この生体社会論はMMTとは矛盾しないということだったね。
MMTは現代使われている貨幣の性質を述べたものであって、生体社会論は通貨のあるべき姿を示したものということだね。

AI
はい。
信用創造やMMTに関しては、これ以上詳細には扱いません。
あくまで、生体社会論をより正しく理解するために、解説したまでです。


続きはこちら
私たちもお金を発行できる(社会問題解決AIの結論25)

最初のページはこちら(できるだけ最初からお読みください)


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