韓国ドラマ「私たちのブルース」
主役級の豪華キャストがたくさん出ていることで話題となった「私たちのブルース」。
全20話とやや長めなので手を出してなかったんですが、
満を持して完走しましたのでこちらに所感まとめます。
概要
済州島の田舎町で暮らす人々の物語。
オムニバスで数話ずつ、誰かと誰かの関係性が深堀りされるという一味違った構成です。
登場人物が多すぎて名前を最終回まで覚えられないという事態は避けられませんが、一人一人の生い立ち、悩み、喜び、成長の丁寧な描き方はあっぱれ!
ゆるり、じんわり楽しむ大人のドラマです。
とは言え、気になる点がいくつかあって、視聴後の今となってはもうそればっかり気になるので、少々辛口ですがお許しください。
ヨンオクの生き方がリアル
個人的に一番グッときたのは、海女1年目のヨンオク(ハン・ジミン)を描く回。
幼い頃に両親を亡くし、障がいをもった姉と18歳まで施設で育つ。
美貌と愛嬌で男たちを翻弄しますが、海女のなかでは最初、協調性のない人間として嫌われます。
言いたいのが、このドラマのハン・ジミン、めちゃくちゃ可愛い…!!
「ある春の夜に」の100倍可愛い。ほんま。
障がいのある姉を見捨てることはしない。でも自分の人生とのバランスを取ろうと手探りで生きる姿はかなりリアルで、真に迫るものがありました。
障がい者を家族にもつということがどういうことなのか、あるリアルな一例を見せてもらえたような感じ。
親父たち、うるさい
冒頭から主要メンバーとして登場する男2人、イングォンとホシク。
彼らは犬猿の仲で、会うと常に互いを罵り合ってけんかしまくり。
もうドラマの最初から思ってたんですが、済州で生まれ育ったこの親父2人の、なんとうるさいことか!
毎日のように市場で大声で怒鳴り合うんです。声帯大丈夫か?
そしてイングォンの高校生の息子ヒョンと、同級生でホシクの娘ヨンジュが隠れて交際していて、なんと子どもを身ごもるんですが、この事件によりうるさいシーンがさらにどんだけ量産されたか想像に難くないですね。
話自体は泣けるいい話なんですが、うるさすぎてリタイアしそうになりますね。
「クソっ!」て何回言うねんほんま…
年配者、そんな偉い?
韓国ドラマ、さらに田舎の話と言うことで特に顕著なのが、
「年配者=敬うべき人」の構図。
ドラマ中で最も「勘弁したってくれ」と思ったのが、イ・ビョンホン演じるドンソクの母親!!!
ドンソクの母親は、夫と長女の死後、生きていくために夫の友人の愛人になりました。
これは昔の済州ではけっこうあったことらしいです。すごいなあ。
愛人宅で、正妻の息子たちにいじめられても母親は見て見ぬふり、息子を気に掛けることは全くなかった。
娘の死を嘆くばかりで、息子には目もくれない。
この親子の確執のゆくえが最終話にかけての見どころなんですが、
死が近い母親に、やっとの思いでドンソクが質問します。
「なぜ俺に一度も謝らない?」
これに対し年老いた母は、とぼけたあほみたいな顔で
「あなたに何か謝ることがある?」・・・
え、何?どういうこと?最後いい感じに仲直りしてから亡くなったっぽくなってるけど色々説明してからにしてくれへん?
自分の過去の行動の意味とか、今になってたまに息子に電話かける(でも態度は偉そう)意味とか、
無口すぎて、息子が聞いても全然答えないんです。
ずっととぼけた顔してます。
(この顔がめっちゃ腹立つ・・・母親役の俳優さんの演技に脱帽)
こういう色んな理由があってドンソクは母親を心底嫌ってるんですが、
事情をよく知らん周りのおせっかい焼きたちが、
「母親になんて態度なの」
「母親にもうちょっと優しくしなさい」
とか無遠慮に言いまくるのよ。
若い人には若い人の理由があって、親に優しくなんて到底できないそれぞれの事情があるのに、そういうのは無視してとりあえず年配者やから敬えっていうのは、絶対ちゃうと思うんです。
チュニとウンギのエピソード見てられへん
海女の最年長チュニと、都会から期間限定で預けられた孫ウンギの回は、ウンギが不憫すぎて見てられへん。
チュニおばあちゃんの昔流すぎる子守り、ほんまに無理でした…
孫が大事にしてた器の水を捨てたり、
泣いても理不尽に叱責したり、
お菓子があると騙して自分の指を孫の口に入れたり(オエ)…
ウンギの精神は鍛えらえるというより、傷を負う方向なのでは?と思った。
まあ親の事情が事情なので、突然預けることになったのは仕方ないんですが、
絶対このおばあちゃんに子守りさせたらあかんわ。と思った次第です。
なんやかんやいいドラマ
悪口多めになってしまいましたが、
普通の人々が、辛さ7、幸せ3みたいな人生を一生懸命生きている姿を等身大で描いた、大人の良質ドラマでした。
気付いたら生まれてて、暮らす場所、家庭環境が決まってて、その中でなんとか生き抜いていくのってほんま大変。
この登場人物たちに、フランクル先生の「それでも人生にイエスと言う」を差し上げたくなりました。
ゆるり、じんわりと沁みる本作、ぜひ一度ご視聴ください。
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