ハンドメイド雑誌30年の歩み
猛暑に慣れるのはいつのことやら。日本の気候が夏と冬だけになってしまうのでは?と危惧する声もあがっていますが、皆さまはいかがお過ごしですか?
子供の頃は夏が大好き! 海に出かけるのは毎年の恒例行事で、肌が黒くなっても、むしろ日焼けを楽しんでいた10代、20代の頃。
今でも海は大好きですが、日焼けに対しては無防備というわけにはいかない、ちょっと面倒な今日、この頃です。
先日、主婦と生活社の『COTTON TIME』編集部から連絡がありました。今年の11月号で創刊30周年を迎えるという、嬉しい知らせでした。
『COTTN TIME』という雑誌は、「私のカントリー別冊」という形で創刊号を発売しましたが、
私の中では生まれるべくして生まれた雑誌という気がしています。
当時、パッチワークキルトや刺繍、ソーイングなど、ある特定のジャンルに特化したハンドメイド誌はありましたが、さまざまな手法が入り混じり、作り方を作品隣接ページ、しかもカラーで説明しているという雑誌は、結構画期的でした。
インテリアやライフスタイルに、カントリーというキーワードがどんどんマッチしていく時代。自分の手を動かしながら暮らしを楽しむという姿勢が、当時とても新鮮で、多くの読者の心を掴んでいた時期でした。
インテリアのなかのパッチワークキルトや、ステンシルといった手法も目新しく、手作りに特化した今までにないハンドメイド雑誌の存在は、時代にぴったりと合っていたのでしょう。
“若いママたちに読んでもらえる、暮らしに役に立つ雑誌”をコンセプトに、困っていることを特集タイトルに打ち出すことも多く、「入園入学のための手作り」や「クリスマスグッズを手作りしよう!」などは、他誌ではあまり見かけないテーマ。掲載する作品も、手芸家や先生と呼ばれるプロの方ではなく、一般のお母さんたちの登場が圧倒的に多いというのも、この雑誌の特徴になりました。
それでも30年という時間の流れは、雑誌にも大きな影響をもたらします。
刊行形態を変更したり、時には休刊という厳しい状況に陥ることもある、ここ数年の雑誌事情。
今と創刊当初を振り返ってみても、企画の内容が少しずつ変化しているのが見てとれます。
当初は”暮らしのなか”という枠組みが、子供や家族のためにといった方向だったのが、今はフリーマーケットに参加して新しい関わりを楽しんだり、サイドビジネスにまで広げた作品づくりだったり、手を動かすことを通して新しい世界に一歩踏み出すことにも関心が集まり、特集企画もそんなところに目を向けたものも目立っています。
変わらないものを挙げるとすれば、”暮らしのなかの手作り”を一貫して大切にしていること。
人の思いが形になって生まれる手作りの素晴らしさは、上手い下手を軽やかに超えて、人の心に直球で届くからです。
さまざまな経緯があり、現在日本ホビー協会の一員として、また、日本ホビーショーを主催する側としてハンドメイドに関わっていますが、今直面している問題点、改善点を一つずつ形にしながら皆さまに喜んでもらえるイベントに仕上げていく──。雑誌作りを懐かしく思い出しながら、次回日本ホビーショーに向けたプランニングに、日々頭を悩ませているところです。