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特別支援教員認定試験 言語障害(2019年)

こんにちは。特別支援教員認定試験の過去問解説をしていきます。


問1 言語発達の為には4つの基盤が必要であると言われている。それらは、①生理学的基盤、②社会的相互交渉の基盤、③認知的基盤、④大脳の言語中枢の基盤である。言語発達を成り立たせる各基盤について説明し、その生涯がどのような問題を生じさせるか述べなさい。


①生理学的基盤については、聴覚機能や視覚機能、口腔機能等その子どもの体の部分の機能についての基盤である。もしこの基盤が揺らいでいる例えば聴覚機能などが障壁されている場合、発語の音声カテゴリーが出来ない状態で発語がされる可能性がある。

②社会的相互交渉の基盤とは、日常生活で人とのやりとりを通して関わりややりとりを楽しめるかという視点の基盤のことである。社会的相互交渉について障壁されることで言葉を伝えてみたいと思う気持ちをそいでしまう可能性がある。

③認知的基盤については記憶(過去にしたことを覚えているか?など)に関連した基盤である。この基盤が障壁されると、見立て遊びなどが出来なくなる可能性がある。

④大脳の言語中枢には意識の内容に対応することばを声として出すため、口唇、舌、口蓋(こうがい)、喉頭(こうとう)などの運動をつかさどる運動野に指令を送っている基盤である。これらが障壁されると失語症になる。

問2 正常構音の獲得を目標とした指導に、「言語指示以外の形式で児童に自身の構音操作を提示する方法」を用いる意義について述べなさい。

正常構音を獲得を目標とした指導に、言語以外の方法で構音操作を行う意義として大きく2つあると考えられる。以下一つずつ述べる。

1つ目は、子どもの自尊心を守りながら指導ができるという点だ。正常構音の発する為に言語だけによる操作を行うと子どもは自分の苦手なことを続けられていると感じ嫌になってしまう可能性もある。それに対して、言語による方法以外、例えば遊びの中で構音操作を促すことで子どもが「楽しい」と感じたり、「リラックスできる」と感じながら正常構音を獲得できる可能性が高い。

具体的には、「ふー」という発語を促すために、シャボン玉をすることで発語を促したり、舌の大小の動きになれるために、ウエハースなどを使って舌が滑らかに動かせるように支援する。

2つ目には、言語による正常構音を獲得する場合、言葉の連なりによって発語が困難なのか、肺活量や口腔機能により発語が困難なのか判別が困難な場合がある。その為、遊びや言語以外の作業の中で正常構音を獲得する為にアプローチすることで、何によって発語が困難なのか鑑別しやすい。

加えて、正常構音を獲得することで、別の活動が出来る(嚥下ができるようになる、舌を使って食べ物を食べることが出来るなど)可能性も考えられる。

以上から、正常構音獲得のために言語指示以外の形式で児童に自身の構音操作を呈示する方法にはメリットがある。


問3吃音のある児童生徒が、吃音のある人のセルフヘルプグループに参加することは、自立活動の観点からどのような意義があるか?「健康の保持」「心理的な安定」「人間関係の形成」「コミュニケーション」の4つの区分に即して述べなさい。


吃音のある生徒がセルフヘルプグループに参加することの意義について以下述べる。なお吃音とは「話し言葉が滑らかに出ない障害」のことを言う。健康の保持という要因では、吃音は治すものではなく、付き合っていくものだと感じる方もいることから、吃音や吃音に対する意識の変容が考えられる。それにより、吃音がある自分というアイデンティティーを再認識できる可能性があり、心理的な安定につながる。また同じように吃音を持つ他者と出会うことで、気持ちが安定し、誰かと話したい、関わりたいと感じる可能性がある。また、同じように吃音がある為、言葉が出にくい部分などをくみ取りながら話していくことで人間関係が形成出来たり、コミュニケーションが取れるようになる可能性もある。


問4 「生後5か月~6か月」、「生後10か月~15か月」、「1歳半頃」、「2歳代」の標準的な語彙の発達について説明しなさい。

生後5か月~6か月の0歳児の時、喃語や身近な人の模倣をする。

生後10か月~15か月の時は、初語が出る時期である。それ以外にも指差しなどがみられる。

生後1歳半の時は、語彙の増加とともに2語文などが増えていく。

生後2歳になると、3語文がでたり、大きい・小さいなどの言葉が出始める。長い、短いなどの形容詞や助詞が出てき始める。


問5 通級による指導の実施形態である「自校通級」及び「他校通級」について、それぞれの利点と留意点について述べなさい。


自校通級のメリットは自分の学校内での通級の為、情報共有や連携がしやすい事、学校の風土や文化、カリキュラムの進め方などが自校の方が普通級と支援級で違いがある為、学習面において、学習漏れや未履修問題などが起こりにくい。その一方で通級をしているからこそ、普通級にいる子や支援級にいる子から、「この子はなにか違う子」つまり、自分のように一定の同じ学級にいる子どもではないとみられる可能性がありデメリットや留意点として考えられる。他校通級のメリットは、1つの学校以外にも通えるからこそ、様々な刺激を受ける可能性がある。デメリットとしてカリキュラムなどの進め方が学校によって違う為、未履修問題などが考えられる。

詳しくは以下のサイトに詳しく書かれていました。

参考:自校通級・他校通級と巡回による指導


問6 次の用語のうちから4つ選び、それぞれの用語について説明しなさい。

⑴大人の基本姿勢(SOUL)

インリアルアプローチとよばれ、子どもの言葉を促すアプローチの1つの基本姿勢である。Sは沈黙することである。子どものやっていることに対してあれこれ言わず黙って見守ることである。Oは観察することである。子どもがしていることを注意深く見守る必要がある。Uは理解することである。子どもがやろうとしていることやしていることを理解することである。Lは聞くことである。相手の言葉を聞きながら共有することである。

⑵側音化構音

ことばをしゃべる時に,息が口の真ん中からではなく,横から出ていくためにこの名前で呼ばれている。 例えば,「ち」が「き」,「じ」「り」「に」などが「ぎ」に近く聞こえるなど,特にイ段の音がうまく出せないことが多いと言われている。

⑶実行機能

実行機能とは、複雑な課題の遂行に際し、課題ルールの維持やスイッチング、情報の更新などを行うことで、思考や行動を制御する認知システム、あるいはそれら認知制御機能の総称である。発達障害の子の一部が実行機能障害と言われている。

⑷吃音の自然治癒

発達性吃音の場合に起こりうる。

7~8割くらいが自然に治ると言われている。 残りの2~3割は徐々に症状が固定化して、楽に話せる時期が減ってくる。 さらに症状が進むと、話そうとしても最初のことばが出なくなることが多い。

⑸PVT-R

言語の理解力の中でも特に基本的な「語いの理解力」の発達度を短時間に正確に測定する。4コマの絵の中から、検査者の言う単語に最もふさわしい絵を選択させるという、わかりやすい手法を採用している。

⑹誤嚥性肺炎

嚥下機能障害のため唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸引することにより発症する。

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