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育児戦争/家政夫と一緒。~その12~
空の果て
「にゅうどうぐもおおきいねー」
「あんなにおおきなものがおそらにうかんでいるんですからふしぎですー」
「古来より空は別の世界と言われていた。
もし空が私達の住む世界と異なるならば、あれはさしずめ異界の山といったところか」
「ふわふわくものやま、のぼるのたのしそうね」
「うふふ、ですねー。
あ、おちゃはいりましたよ」
「頂こう」
「あーちゃー、あそこまでいけないの?」
「無茶を言うな。私はアーチャーであってペガサスでもグリフォンでもない。空は飛べんよ。
⋯⋯それに。
あそこが異界なら────あんなところを目指しては駄目だ」
「なんで?」
「高いところに着くまでに、大事なものをたくさん落としてしまうからだ。
⋯⋯君達は今、幸せかね?」
「うん!」「はいっ!」
「ならば、遠いところに行くよりも。
その幸せを離さないようにしっかり掴えておけ」
「⋯⋯うん」
「⋯⋯はい」
⋯⋯ぎゅう。
「⋯⋯やれやれ。
大丈夫だ。私がいる限り、君たちを地べたの上に貼り付けておく。
そんなに心配をするな」
『ちがうもん⋯⋯。
いっちゃうのは⋯⋯わたしたちじゃないもん⋯⋯』