育児戦争/家政夫と一緒。~その10~
約束だよ
「うわー⋯⋯きれいですねー!」
「うふふ、そうね。
たなばただもんね!」
「おりひめさんとひこぼしさんですね。
あーちゃーさん、おりひめさんどれでしょう?」
「ベガだな。
星が多いとなかなかこれと指定するのは難しいが……あのへんだ」
「どれでしょう⋯⋯」
「夏の大三角形などとも呼ばれるから、強く輝く三つの星を見つけるとわかりやすいだろうな。
これがベガ、こちらがデネブ、あれが彦星ことアルタイル、だ」
「わわ、みつかりました!
えへへ⋯⋯」
「あーちゃーおとこのくせにほしにくわしいよね」
「君は私を何だと思っているのかね⋯⋯。天測計算をする為にも星の知識は必須だぞ。
君はどうなのかね、魔術師殿。時計塔の入試試験は厳しいぞ?
天文占星の基礎知識だけではなく実技の確かさも必要だ」
「そ、そんなのよゆうだし!
まじゅつしがほしをしらずにやってけるわけないでしょ!」
「⋯⋯本当かね?」
「えへへ⋯⋯できました」
「なになに? あ、たんざく?
たなばたのねがいごとかいたの?」
「何をお願いしたのかね?」
「えと⋯⋯。
”らいねんも、みんなできれいなあまのがわ、みれますように”って」
「────────」
「⋯⋯う?」
「⋯⋯あーちゃー?」
「⋯⋯ああ。来年も来よう。
約束だ」
「⋯⋯うんっ!」
「はいっ!」