育児戦争/家政夫と一緒。~その5~
雷様と子猫様
ピシャアアアンッ―――!
「わわっ⋯⋯か、かみなりこわいです……っ」
「ふ、ふん。さくらはこわがりねっ!
どってことないじゃない。ただのしぜんげんしょうよ」
「ふむ―――ところで凛は知っているかね?
雷様がヘソを取るという逸話だ」
「そ⋯⋯そんなのめいしんにきまってるじゃないっ」
「魔術を扱う君が神秘に対して懐疑的なのはさておくが……。
実はアレには根拠があってな。
ヘソがインド系密教における気の流れ、つまりチャクラの経穴の一つだということは知っているな?
マニプラ・チャクラ、火の属性を持つ蓮華。
五大元素使い(アベレージ・ワン)である君ならば無論のことだとは思うが」
「⋯⋯」
「雷神はヒトの活きの良い”気”が大好物でな。
古来より魔を帯びた気―――つまり魔力だな。
そのような人間を見つけては雷と共に現れ人を攫い―――」
「ヘソから魔術回路ごと吸い出したそうだ」
「⋯⋯あううう⋯⋯」
「だ、だからなんなのよ⋯⋯っ」
「―――凛は優秀な魔術師だと思ってね」
「⋯⋯ね、ねえさん⋯⋯。
さらわれちゃいやですっ⋯⋯グスッ」
「⋯⋯い、いじわるっ!
いじわるいじわるいじわるっ!!
あーちゃーだいっきらい!
きょうはいっしょにねてくれなきゃ、ないちゃうんだからー!」
「ク―――了解だ」