『民俗小説 異教徒』- 脱出 章 - 後半 概要
ベッソーノフは夕方まで彷徨した。岸には崩壊後のゴミが堆積していた。砂の中に捨てられた船の残骸や木材がすっかり腐り、錆びていた。波はこれらをゆっくり飲み込み、鉄と木をなめ、野生の状態に戻し、人間との接触を消した。ユジノクリリスクには何人か知人がいたが、事情を説明するのが億劫だった。彼はポケットに両手を突っ込み、襟を立て、冷たい風に耐えた。黒雲が這い入り、時々とげのある白い穀物が播かれた。どれだけの時間が経ったか分からなかった。時間は意に反して伸び縮みし、この奇妙な特質がいつも彼