【前半】新規事業『UZone』への挑戦 -20代経営者になるために- 植田壮大郎
「20代で事業を興して、自分で経営できるようになりたい」
パーツワン入社3年目社員の植田壮大郎はこう語る。
植田は祖父、父が代々会社を経営している経営者家庭で生まれ育った。
会社全体の業務を網羅するスキル、従業員についていきたいと思わせる人間性、大きな判断をする決断力。
これらを兼ねそろえ日々奮闘する2人の背中に憧れを抱き、
いつかは自分も経営する立場になりたいと植田が考えるのはごく自然なことであった。
2人のような理想の経営者になるというのは決して簡単なことではない。
孤独に学び続ける毎日。
就活企業人気ランキングの順位や福利厚生を重視して就活を進めている周りとの隔たりを感じることもあった。
それでも、理想の経営者になりたいという植田の思いが変わることは無かった。
経営者になって自分の追い求める理想に近づきたい。
そのためにも、まずは自分を本当に伸ばせる場所に行きたい。
そんな思いで就職活動をしている時に出会ったのがパーツワンだった。
パーツワンは2009年に設立されたベンチャー企業。
創業社長の長倉自らが指揮をとり、少人数小規模ながら自分たちでなくてはならない理由を探し求めて日々新しいものに挑戦し続けている。
挑戦し続けることは決して楽ではない。それでも自分たちが追い求める未来のために日々歩みを止めない。
その姿勢が自分の追い求める理想の経営者像と一致し、入社を決意した。
仕事に対する姿勢、周りからの信頼
入社2年目当時、植田は営業を中心に業務に携わっていた。
会社から課された自分の担当エリアでの目標を常に自分事に落とし込み、達成のために何が必要かを常に逆算して考えた。
経営者の親を見て育ち、大学時代学生団体を設立・運営していた植田も、入社2年目社員であることに変わりはない。
時には経験不足のために目標達成が難しくなる時もあった。
若さを理由にして諦めても仕方がないような状況にも思えるが、それでも植田は妥協せず、常に目標達成に向かって努力を止めなかった。
社内での会議、ディスカッションの場面でも、植田は努力して身に着けた実力の一端を垣間見せていた。
テーマに対して一般的な見解を伝えるのではなく、自分の頭を使い、自分の言葉でクリティカルな意見を発信し続ける。
周囲のケアをしながらも核心を突く植田の発言はパーツワンに新しい旋風を巻き起こし、徐々に周りの信頼を勝ち取っていった。
出来ない理由を探すよりどうすればできるのかを常に考え続ける。
一度決めた目標は変えることなく、自分を追求し、理想を実現するための努力を惜しまない。
一般的解釈に囚われず、鋭い見方で物事の本質を見抜く。
そんな植田の姿勢を、社長の長倉は見過ごさなかった。
「自動車部品業界の常識」への挑戦
21世紀を迎えてから四半世紀を迎えようとしている現在も、
自動車部品流通における商流はFAXや電話で行うことが業界全体の常識となっている。
そんなところに長倉は課題感を感じていた。
自動車部品取引のデジタルプラットフォームを作り、自動車部品業界の常識を変えたい。
そんな思いを抱えていた。
デジタルプラットフォームを開発するためには想像を絶する高い壁が待ち受けている。
50年間も変わっていない業界の常識を変えるということ。前例は当然ない。
一見同じに見える部品を区別して、正確に識別する技術的難易度は非常に高い。
覚悟の上の挑戦である。
頼りになるのは、これを求めているお客さんがいるという自分の勘と、あきらめずに挑み続ける姿勢だけ。
そんな中でも植田なら共に新規事業に挑み、戦っていけるという確信を持ち、長倉は植田の肩を叩いた。
「AIで部品の種類が識別できるスマホアプリを作って、業界の常識を変えよう」
そんな理想を抱いて、長倉と植田が初めに取り掛かったのは顧客へのヒアリングだった。
長年の取引で顧客のことはよく知っている。あとは実際に見たことを基により精度を高めればいいだけだ。
そう考え、客先に足を運んだ。
ヒアリングで気づいた理想との乖離 『UZone』への着想
しかし、実際に見えてきた光景に、2人は自分たちの予測の甘さ、
新規事業を立ち上げることの難しさを痛感することになる。
部品取引はイレギュラー対応が多い。AIで部品を識別できたところで、そこからの発注取引が人力であることに変わりはない。
スマホを勤務中に使っていると遊んでいると思われる。そもそも社内用の携帯がスマホであるとは限らない…。
自分たちの理想との乖離は挙げればきりがなかった。
自分たちの作りたいものを作ることもできる。
しかし、それでは顧客の問題解決にはつながらない。
顧客が、社会が本当に求めているものはなんだろうか。
そう考えた時に出てきた答えが部品見積もりをその場でできるデジタルプラットフォーム、UZoneだった。
発注の仕組みが自動化されれば業務効率が各段に上がる。これこそが顧客が求めているものだと気づいた。
やることは決まった。